台風19号に新型コロナ…受難続き「学童少年野球」の惨状

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 第92回選抜高校野球大会の中止、プロ野球では無観客試合に選手の新型コロナウイルス感染。野球界は受難が続いているが、それは少年選手たちも同じだ。

 日刊ゲンダイの記者が身近で知っている、東京都東部地区の学童少年野球に限って見てみたい。その実情からは他の少年(年が若いという意味)スポーツにも似たようなことが起きているのではないかとも推測されるからだ。ちなみに一般的には「少年野球」や「リトルリーグ」と呼ばれたりもするが、公式には「学童少年野球」と呼ばれている。

 屋外スポーツである学童少年野球の今につながる受難は、昨年秋から始まった。記憶が薄れてきたかもしれないが、2019年10 月12日に関東地方に上陸した台風19号による記録的な豪雨が原因だ。

 台風19号で江戸川は氾濫し、河川敷グラウンドは水没した。江戸川区や葛飾区の少なからぬチームは江戸川河川敷を活動場所にしている。東京都南東部に位置し、東京都と千葉県の境に流れる江戸川河川敷は、都内最大レベルの広さを持つ。野球だけでなく、ソフトボール、サッカー、ラグビー、ラクロスなどをプレイするため都内から幅広い層が集まってくるため、被害を受けたスポーツは野球だけではなかった。

 水が引けばグラウンドは使用できるかと思いきや、今回は事情が違った。グラウンドの土は流されて泥に覆われ壊滅状態。土を入れ替えて新しくグラウンドを造成しなければならなくなったのだ。1カ月の復旧はとうてい無理で、数カ月に及ぶと知らされ関係者は愕然とした。公式試合は基本的に河川敷グラウンドが使われるため、以後の大会スケジュールはまるまる飛んだ。

 グラウンド壊滅は試合だけではなく、練習にも影響を与えた。もともと学校の校庭や内陸のグラウンドで練習していたチームはやりくりできたが、広い河川敷をメイングラウンドに使うことができていたチームはむしろ練習場所がなくなり、四苦八苦することに。2019年の10月、11月、12月はそうして時間が過ぎた。少年学童野球のチームは「年度」ではなく「年」で構成するため、6年生は突然試合ができなくなり、そのまま2019年いっぱいでチームを卒部(引退)していった。

■不透明さが続く2020年

 ようやく江戸川河川敷の学童野球用グラウンドが使えるようになったのが、2020年1月中旬(江戸川河川敷は3月現在も整備中)だ。2月から練習試合が組まれるようになり、3月から始まる地区や区の春と夏の試合スケジュールも所属連盟により発表された。しかしご存じの通り、新型コロナウイルスの感染拡大対策で安倍首相が2月27日、全国一斉休校を要請。3月2日からの臨時休校が始まった。休校は自宅待機して社会的距離を保たなければ意味がない。学童少年野球の活動も同じだ。

 新型コロナウイルス感染拡大の余波は、昨年の台風被害を直接受けたチーム以外にも影響は及んでいる。公式試合はもちろんのこと、外で集まって公式に練習することもできなくなった。たとえば江戸川区学童少年野球連盟では、チーム活動への「強い」自粛要請が4月12日まで延長された。これによって部員は、チーム活動とわかるキャップやTシャツを着て野球の練習ができない。河川敷のグラウンドが空いているようにみえても施設は休止状態なので、関係者は使用禁止。チーム関係者はグラウンドに入れないのだが、むしろチームに関わっていない子どもたちがグラウンドで身体を動かしている姿を見かける。

 おまけに小学生は、独自に連絡を取り合って小学生だけで練習することもできない。あらゆる面で練習不足に陥っているため、日頃ボランティアで携わっている監督やコーチはいかに部員たちに自宅室内で練習してもらうかに頭を悩ませている。YouTube動画に練習方法をアップロードしてくれるプロ野球選手(元プロを含む)はありがたい存在だ。とはいえ、新型コロナウイルス感染拡大対策を前提にした即効性のある動画はまだまだま少ない。

 東京都では4月2日、都立や一部の区立学校(区によって対応は異なる)を5月の大型連休明けまで休校にすると指示が出た。先行き不透明なまま時は進むが、10月にはまた台風の季節がやってくる。政府も新型コロナウイルス対策で手一杯であり、台風の洪水対策に手が回っているとも思えない。

 子どもの体力や技術は日に日に衰えている。東京オリパラを延期する理由として選手側から指摘されたように、練習不足のまま本番を迎えれば選手はパフォーマンスを発揮できるどころか、ケガをしやすくなる。同じ状況は学童少年野球のみならず、少年スポーツ全体に影響するのは目に見えている。

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