プロ野球「6.19開幕」に3つの根拠 カネと影響力で思惑交錯

公開日: 更新日:

 一部スポーツ紙が、プロ野球が6月19日開幕の準備を進めていると報じている。

 11日に行われるプロ野球、Jリーグ合同のコロナ対策会議と12球団代表者会議に加え、12日の臨時オーナー会議では6月19日の開幕可否に関する話し合いが行われる可能性がある。

 NPBと12球団はすでに、開幕日の最短を6月19日に設定している。日本ではいまだコロナ禍が終息する兆しは見えないものの、GW中の5月4日になってオーナー会議が行われることが判明するなど、水面下で6.19開幕に向けた動きがあるというのだ。

■放送収入で損失補填

 まずは日程上の問題だ。野球協約第159条には、公式戦の主催試合数は最低60試合と定められている。つまりシーズンの成立には120試合以上が必要なのだ。そうなるとスケジュール的に開幕期限は刻一刻と迫っている。

 球界OBがこう言う。

「12球団は開幕日が決まらない不安を抱えながら自主練習を行う中、一部球団には緊急事態宣言が5月末に解除されることを想定し、12日のオーナー会議で6月19日の開幕日を決めようという動きがある。プロ野球の開幕が遅くなるほど球団の収入は減る。選手の年俸総額が大きいビッグクラブほど損失は大きい。自前の球場を持たない球団は、自主練習で本拠地球場を使用する際に使用料を負担する必要がある。6月中の開幕となると一定期間の無観客開催は避けられず、入場料や場内の飲食、グッズ販売などによる収入は得られませんが、テレビやインターネットによる試合中継は可能。その放映権料を得ることで、できる限りマイナスを補いたいのです」

■Jリーグのスポーツくじ

 Jリーグとの関連もある。プロ野球はこれまでJリーグと合同でコロナ対策を行うなど、開催に向けて歩調を合わせてきた。いってみれば一蓮托生で、プロ野球が動けばJリーグも連動するはずだ。

「プロ野球とJリーグの早期開幕を求める声は、東京五輪組織委など五輪関係者からも上がっている」とは、さる放送関係者だ。

「totoやBIGのスポーツ振興くじによる売り上げは、日本スポーツ振興センター(JSC)が保有する新国立競技場の維持費や五輪関連費用の財源になっているだけに重要ですが、それがゼロになっている。賭けの対象になっているJリーグと海外サッカーが中止になっているからで、すでに100億円を超す損失が出ていると聞いています」

 くじの収益は各競技団体への補助金の財源にもなっている。各競技団体はコロナ禍により、収益の柱となっている大会の開催も中止に追い込まれ、苦しい経営状況を強いられているところもある。いち早く再開してもらうに越したことはないというわけだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  3. 3

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  4. 4

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  5. 5

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  1. 6

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  4. 9

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  5. 10

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ