鈴村裕輔
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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

年俸削減案で対立 労使“タフネゴシエーター”たちの交渉術

公開日: 更新日:

 NBAが7月31日の再開案をまとめ、NHLが7月以降に行うプレーオフを従来通り7回戦制で実施する案を公表するなど、米国では新型コロナウイルス感染症で中止や中断していたプロスポーツが再始動に向けた動きを加速させている。

 そこへいくと大リーグは「7月4日前後のシーズン開幕」を目標としているものの実現までの道のりは依然として遠い。試合数に限っても、機構側が82試合を提案すると選手会側は114試合を実施する対案を示した。しかも、機構側は選手会による提案を拒否して50試合制を検討するなど、先行きの不透明感は増すばかりだ。

 しかし、バド・セリグ体制下で副会長として労使問題を担当したコミッショナーのロブ・マンフレッドをはじめとして、大リーグ機構や各球団の幹部には交渉にたけた人材が揃っている。また、選手会も「全米最強の労働組合」と呼ばれるほど交渉力がある。

 かつて専務理事として選手会を親睦団体から労働組合へと発展させたマービン・ミラーは、「相手が受け入れられない要求を出して、双方譲歩し自分たちが望むところで決着させる」という交渉術で、コミッショナーのボウイ・キューンらを相手に熾烈な駆け引きを行い、選手年金の拡充やフリーエージェント制度の導入を実現した。キューンの手法は、われわれが思い浮かべる交渉の典型と言えるだろう。

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