著者のコラム一覧
友成那智スポーツライター

 1956年青森県生まれ。上智大卒。集英社入社後、今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流、米国での現地取材も頻繁に行いアメリカ野球やスポーツビジネスへの造詣を深める。集英社退社後は、各媒体に大リーグ関連の記事を寄稿。04年から毎年執筆している「完全メジャーリーグ選手名鑑」は日本人大リーガーにも愛読者が多い。

コロナ禍を利用した「マイナーリーガー大量解雇」の背景

公開日: 更新日:

 現在、マイナーリーガーの大量解雇が進行中で、最終的に解雇者は1100人前後になる見込みだ。

 一部では、これをコロナ禍の影響と報じているが、そうではない。昨年秋にマンフレッド・コミッショナーが打ち出した2021年にマイナー球団を162から120に減らすという方針に沿ったもの。コロナ禍で今季マイナーリーグの試合がすべて中止になったことと、マイナーリーガーの大量解雇はたまたまタイミングが一致しただけだ。

 5年前にコミッショナーに就任して以降、マンフレッドが打ち出したマイナーリーグ対策は虐待に近いものだ。ニューヨーク・タイムズの記事によると、メジャーリーガーの平均年俸は1976年からの40年間で20倍になったのに対し、マイナーリーガーは1・75倍にとどまっている。その期間のインフレ率は約500%なので、マイナーリーガーの実質収入は激減してしまった。

 その結果、マイナー選手の85%はサラリーが米国の法定最低賃金以下に。2014年以降、元マイナー選手たちが球団を相手取って損害賠償訴訟を起こすようになり、原告に名を連ねる者は2000人を超えた。このピンチをマンフレッドは議会に働きかけて、マイナー選手を季節労働者と認定する法案を通させることで切り抜けた。それによりマイナー選手の待遇を奴隷状態にとどめることに成功したかに見えた。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  3. 3

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  4. 4

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  5. 5

    坂口健太郎に永野芽郁との「過去の交際」発覚…“好感度俳優”イメージダウン避けられず

  1. 6

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  2. 7

    板野友美からますます遠ざかる“野球選手の良妻”イメージ…豪華自宅とセレブ妻ぶり猛烈アピール

  3. 8

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景