著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

変化の遅い政界と比べても消極的な大リーグの「女性進出」

公開日: 更新日:

 ハリスの指名を政治における女性の進出と捉えることは、米国の現状に照らしても不思議ではない。例えば15年には米国の売上高上位1000社のうち女性が最高経営責任者を務める企業は51社、18年の統計では女性が起こす企業は1日当たり平均約850社となっている。より変化の速い企業活動の分野で増している女性の存在感が、より変化の遅い政界でも高まりを見せていると言えるだろう。

■機構も球団も

 一方、スポーツ界の経営陣の顔触れを見ると、一般企業とは異なる傾向を示している。

 米国4大プロスポーツに限っても、観客の男女比はほぼ同じ割合であるにもかかわらず、女性の経営者が登場することはまれである。

 大リーグの場合もメッツの発足時のジョン・ホイットニー・ペイスンや「おしゃべりマージ」のあだ名で知られたレッズのマージ・ショット、あるいは夫の死に伴ってタイガースの経営を実質的に引き継いだマリアン・イリッチら数えるほどだ。


 また、球団職員や球場の運営業務に携わるボランティアに占める女性は多いとはいえ、幹部級の女性は少ない。大リーグ機構そのものがミシェル・マイヤ=シップ、ララ・ピタロ・ウィッシュら女性幹部が少ないことを考えれば各球団の実情もしかり。

 ヒラリー・クリントンが民主党の大統領候補になり、「ガラスの天井を破るか」と期待された16年以降も、球界における女性の進出は停滞気味だ。

 少なくとも大リーグは政界と比べて時流の変化への対応が消極的と言えるだろう。

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