「会社登録」社会人チーム激減で…最近は「育成」でもプロに入りたい選手が増えている
■大学野球はとにかくカネがかかる
昔、社会人の名門・日本生命の選手は「給料や待遇がプロよりいいから、上位指名でないとプロ入りしない」と言われた。
社会人野球を取り巻く環境は厳しくなっている。近年、クラブチームは増えているが、ピーク時には全国で200を超していた「会社登録チーム」は、今では100を切っている。いい環境で硬式野球を続ける場所がなくなっているのだ。
一方で大学野球は、とにかくカネがかかる。
高校の場合は授業料免除の特待生制度があるが、東京の大学は基本的に免除してくれない。私大なら高い学費、寮費、小遣いなど、親の負担は相当な金額になる。長引く不景気や母子家庭が増えている事情もあって「それなら、カネがかかる大学には行かないで、育成でもいいからプロに入って稼ぎたい」と言う、アマチュア選手が増えている印象だ。
ところで、阪神には独特の文化がある。コロナ以前には、毎年1月に「フロントの職員だけ」で親善旅行に出掛けていた。「フロント」とは、編成やスカウトが属する球団本部、総務部、営業部などで、費用は毎月の給料から天引きされ、球団が積み立ててくれている。阪神はコーチが多いといわれるが、職員の人数も多く、総勢80~90人の大所帯である。