出稽古しなかった隆の里の“イイトコ”と真意 コロナ禍でさらに親方の力量も問われる

公開日: 更新日:

 聞いた時はいくら何でも……と思った。稀勢の里(現二所ノ関親方)の師匠である元横綱隆の里の鳴戸親方が生前、現役時代の稽古を語った時だ。

「俺なんか大乃国(現芝田山親方)と隆三杉(現常盤山親方)に2人がかりで押させたもんだ」

 隆の里の稽古を大関時代からかなり見ていたが、そんな場面は覚えがない。大乃国と隆三杉なら合わせて350キロだ。常盤山親方にその話をしたら「ハハハ、そりゃ盛り過ぎだ」と笑っていた。

 相撲界でいう「イイトコ」(話半分や冗談)だが、「出稽古しなくても、部屋で申し合いや三番稽古以外にも工夫次第でやりようがあるんだ」というのが鳴戸親方の主張だった。実際、この2人ではないが、隆の里が俵に足を掛けた状態から若い衆に2人で押させて残す稽古は見た。

 隆の里が育った元横綱初代若乃花の二子山部屋の稽古には「待った」もなかった。手をついて1回で立つ。同じ時間でも1回仕切って汗をふき、2回目で立つ部屋の2倍の番数になる。

 中身の濃さに加え、当時の二子山親方には「関取衆が出稽古に行ったら誰が若い衆に稽古をつけるんだ」との考えがあり、それが鳴戸親方に受け継がれ、弟子の稀勢の里の伸び悩みをめぐる出稽古論争にもつながった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?