米国WBC連覇へ外堀埋まる ドミニカ選手18人にMLB球団「派遣NO」、日本も対岸の火事にあらず

公開日: 更新日:

ベネズエラなどにも影響

 実際、ベネズエラでは先日、18年新人王のアクーニャ(ブレーブス)が所属球団の医師から「WBC出場にストップをかけられた」と明かし、出場辞退が決定的となった。海外の野球事情に詳しいスポーツライターの友成那智氏がこう言う。

「ドミニカ共和国の予備登録メンバーは、大会連覇を狙う米国以上の大物が名を連ねています。とはいえ、各球団は開幕直前の大事な時期に行われるWBCへの選手の派遣には消極的。大会直前に調整を優先するなどとアレコレ理由をつけて、出場を辞退するケースは枚挙にいとまがありません」

■「各チーム5人以上派遣」

 多数の主力選手が各国の代表メンバーに名を連ねるメッツのショーウォルター監督は先月半ば、米メディアに対し、「(投球時間を制限する『ピッチクロック』や極端な守備シフトの廃止といった)ルール改正の年のキャンプにWBCが重なるのは最悪だ。うち(メッツ)は、打線のレギュラー級の大半と、投手が何人かWBCに出る。各チーム5人以上出さないといけないからね」と言及している。

 前出の友成氏が言う。

「ショーウォルター監督のコメントで気になったのが、『WBCへ各チーム5人以上派遣しないといけない』という部分です。加えて、米国代表はスーパースターのトラウト(エンゼルス)が主将となり、最強チームをつくると言っている。こうしたことは過去の大会にはなかったこと。いかにマンフレッド・コミッショナーが今回のWBCに力を入れているかがよくわかります。これには、MLBがファンやスポンサーに対して野球の価値を高めたい意向があるとみられます。米国では、昨年のサッカーW杯が米国男子サッカーのライブ中継史上最高の視聴者数を獲得。次回の26年W杯はカナダ、メキシコと共同開催を行うこともあり、サッカー熱が高まっている。一方、MLBは昨年から、FOXやCBSなど、中継の放映権料が4割ほど値上げされたにもかかわらず、ワールドシリーズの視聴率は一昨年に史上ワーストを記録。昨年も史上ワースト2位と散々でした。野球がサッカー人気に押されていますから」

 17年大会は米国が初優勝。興行的にも成功を収めたことも無関係ではない。米国は大会創設当初、名誉を他国に譲る代わりに、実入りはいただくというスタンスだった。しかし、優勝した17年大会で大会収入が過去最高の1億ドル(約130億円)に達して潮目が変わった。金も名誉も手に入れるうまみを実感した。前出の友成氏は、「30球団に無理を強いてでも、WBCをMLBの主要イベントのひとつにしたい。そうなると、必然的に米国代表が有利になるはずです」と、こう続ける。

「ショーウォルター監督が『ルール改正の年のキャンプにWBCが重なるのは最悪だ』と頭を抱えているように、各球団はただでさえWBC開催が重荷になっている。しかし、MLBとしては米国が2大会連続で優勝することでWBCに対する本気度を一層アピールし、米国内での野球熱を高めたい。各球団にしても、選手の派遣義務がある以上、リスクを最小限に抑える意味でも、中南米諸国や日本代表よりも、米国内で調整できる米国代表に派遣できるに越したことはない。現時点で米国代表の辞退が明らかになっているのは、今季からの先発復帰が予定されている投手のマルティネス(パドレス)だけです」

 こうした米国ありきの動きは、日本にとっても対岸の火事ではない。31日、ダルビッシュ有(36=パドレス)が侍ジャパンの宮崎合宿(2月17日スタート)からの参加を表明。自身のSNSで「自分の場合はベテランであるためパドレスが融通をきかせてくれた」とコメントした。

「ダルは今季でパドレスとの契約が満了する。大ベテランの域に入り、今後は長期の複数年契約を得ることは難しい。パドレスとしても、もしかしたら来季以降の契約延長には消極的なのかもしれません。日系人のヌートバーはさておき、大谷翔平(エンゼルス)、鈴木誠也カブス)、吉田正尚(レッドソックス)の3人はダルとは置かれた立場が違います。特に大谷は宮崎合宿の参加はおろか、本番の起用についてもエンゼルスが制約を設けるのは間違いありません」(米国特派員のひとり)

 米国による米国のためのWBCとして、出場国は主催国の「引き立て役」になりそうだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「豊臣兄弟!」白石聖が大好評! 2026年の毎週日曜日は永野芽郁にとって“憂鬱の日”に

  2. 2

    川口春奈「食べ方が汚い」問題再燃のお気の毒…直近の動画では少しはマシに?

  3. 3

    あの人「なんか怖い」を回避する柔らかな言葉遣い

  4. 4

    自分探しで“変身”遂げたマリエに報道陣「誰だかわからない」

  5. 5

    (1)高齢者の転倒は要介護のきっかけになりやすい

  1. 6

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  2. 7

    「誰が殺されてもおかしくない」ICE射殺事件への抗議デモ全米で勃発

  3. 8

    解散総選挙“前哨戦”で自民に暗雲…前橋出直し市長選で支援候補が前職小川晶氏に「ゼロ打ち」大敗の衝撃

  4. 9

    業績悪化で減収減益のニトリ 事業の新たな柱いまだ見いだせず

  5. 10

    チンピラ維新の「国保逃れ」炎上やまず“ウヤムヤ作戦”も頓挫不可避 野党が追及へ手ぐすねで包囲網