著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

WBCチェコ代表は大リーグ機構“世界戦略”の重要な成果 「野球の普及」の大義ようやく実を結ぶ

公開日: 更新日:

■国内リーグの地道な活動

 こうしたことからWBCを足掛かりとした野球の普及という機構の戦略は事実上破綻。一度始めたからには容易に終えられないという、機構が自らの体面を維持するためだけに開催されているとみなされることさえ珍しくなかった。

 しかしながら、初参加となった英国とチェコ、とりわけチェコの存在は、機構の戦略が名ばかりのものでなかったことを示している。

 1989年のベルリンの壁の崩壊に始まる冷戦の終結を契機として野球が本格的に行われるようになったチェコは、93年にチェコ・エクストラリーガが創設されたことで普及の第一歩を踏み出した。97年には旧チェコスロバキア出身のパベル・ブディスキーがエクスポズとマイナー契約を結び、チェコ人として初めて北米プロ球界の一員となっている。

 それとともに国内リーグの地道な活動を目にした若者が野球に興味を持ち、大リーグで学んだ指導者たちが体系的な指導を行うことで、WBCは現在のチェコ野球が目指すべき最大の目標となっている。今大会では消防士や教師が代表となっていることが話題ながら、日本戦では大会屈指の強打者である大谷翔平から三振を奪うなど、その実力も確実に向上している。

 機構が掲げてきた「WBCは野球の普及のため」という戦略は、ようやく実を結びつつあるのである。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    萩本欽一〈34〉私の“運”論 大谷翔平のカネを使い込んだ通訳に「小さな声で『ありがとう』」

  2. 2

    高橋成美「渋幕→慶応」だけでは読み解けないズバ抜けた回転の速さ 世界選手権ペアで日本人初の銅メダル

  3. 3

    中居正広氏が熊本地震被災地を支援と報道 引退後も変わらないチャリティー精神と芸能界復帰の可能性

  4. 4

    松本若菜「ジュラシック・ワールド」吹き替え《棒読み》論争再燃…暗雲漂う主演ドラマに新たな逆風

  5. 5

    神戸への“聖地帰還”めぐり騒然…山口組・司組長「7年ぶりの里帰り」は実現するか

  1. 6

    高市官邸「被災地利用PV」が首相の命取りに? 安倍元首相“コロナおこもり動画”の二の舞を自民党が危惧

  2. 7

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  3. 8

    熊本地震の被災地利用に続き…首相官邸が今度は国民栄誉賞で「高市PR動画」作成し大炎上

  4. 9

    年金生活者を悩ませる墓問題 維持費も「墓じまい」の費用も払えない人はどうすればいいのか?

  5. 10

    中村倫也が「風、薫る」に大貢献…妻・水卜麻美アナとの「ずっと仲良く」「にこやかな」近況