寮生活で「いじめゼロ」を確約なんてできません。加害者は絶対に生まれます
広陵高(広島)で起きた、いじめ問題をめぐる一連の騒動。批判の矛先は「寮生活」というスタイルにも向いています。
実のところ私は寮での指導には前向きではありません。以前のコラムでも触れましたが、甲子園は自宅から通える地元の選手たちが一丸となって全国大会を戦う姿こそ理想だと考えているからです。仮に専大から「寮をつくろう」と持ちかけられても、お断りするつもり、とも書きましたね。
根底にあるのは地元志向ですが、もうひとつ正直な理由を挙げるなら、「管理できる自信がないから」です。
考えてみてください。多感な15~18歳の子供たちが、逃げ場のない寮生活を送り、20人のベンチ枠を巡って激しい競争の3年間を送る。どうやってもひずみは生まれます。少人数ならともかく、毎年何十人も新しい選手が入ってくれば、数年単位で見た時、その中に問題児がひとりもいない、なんてことはあり得ない。野球の素質が最重要事項で、素行や性格は二の次、という野球部も残念ながら存在するでしょう。
野球に限らず、寮がある全国のスポーツ強豪校の指導者で「いじめゼロ」を確約できる人はまずいないはずです。