寮生活で「いじめゼロ」を確約なんてできません。加害者は絶対に生まれます
選手間のいじめはどれだけ気をつけても、残念ながら起きる時は起きてしまう。加害者を生まない指導をどうやって実現するのか、正解は存在しません。せいぜい確率を減らす取り組みがやっとです。広陵の場合は事後対応のずさんさが目立ちましたが、それは今回のコラムで私がお伝えしたい本質とは異なります。
専大松戸でも全員が自宅通いだから大丈夫と慢心するのではなく、チーム内に確執を生まないよう細心の注意を払っています。
例えば、ベンチ入り20人は単に上からうまい順に並べるわけではありません。代走や声出しの役割、日頃の努力や性格で精神的支柱になっている選手、伸びしろを見込んで経験を積ませたい下級生……。実力以外の要素で選ばれる選手が当然います。その分、押し出される選手の不満も強くなる。だからこそ、私は全員の前で「こんな理由でこの選手がチームに必要なんだ」と説明することをとにかく徹底しています。
納得の積み重ねが「専大松戸」というチームを形づくる。今年の夏も、ベンチから漏れてしまった選手たちは裏方で精いっぱいやってくれました。