鎌田大地〈前編〉「坊主にして世界に行けるんですか」という男が丸刈りで現れた日(東山高監督・福重良一)
鎌田大地MF(英1部クリスタル・パレス/29歳)
北中米W杯で躍進を目指す日本代表の生命線と位置づけられるのが、鎌田大地だ。前回カタールW杯の後に「代表への思いがもの凄く強まった」と公言する男は、チームのために泥臭くガムシャラに戦える選手へと変貌した。元10番・香川真司(C大阪)も「日本のキープレーヤー」と位置づける鎌田について東山高校時代の恩師・福重良一監督に聞いた──。
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──福重さんはJリーグ発足初期の京都などでプレーし、引退後は東山高校で長く指導しています。鎌田大地選手の入学に当たっては、彼の父・幹雄さんが大阪体育大学の1つ上の先輩で、大学同期の三笘薫選手(ブライトン)の叔父・康之さん(奈良学園登美ヶ丘中学・高校監督)を通じて話が来たと聞いています。
「そうですね。大地がガンバ大阪ユースに上がれないということで、中3の9月にウチの練習に来たのが最初です。その時は腰を痛めていたんで見学だけでしたけど、とっつきにくいというか、気難しい印象はありました。でも、入学してから進学クラスの先生から『ウチの生徒たちが鎌田君と一緒に球技大会に参加したけど、みんなすごく刺激を受けていました』と言われて、周りとフランクに関わっていることが分かった。僕の知っている大地とは違う姿だったので、少し驚きました」
──それはなぜですか?
「彼はサッカーに対して一本、筋が通った人間。中学の頃から『10代で海外に行って欧州5大リーグにステップアップして最終的に欧州CLで活躍する』という明確なビジョンを持っていたんで、大人と話す時、自然と『この人は自分と一緒に目標を追いかけていける人なのか』と見極めていたのかなと思います。僕も指導者として試されていたんでしょうね(苦笑)」
──少し大人びた高校生だったんですね。
「当時はサッカーノートを全員に書かせていたんですけど、彼はいつも適当に1~2行書いてくるんです。『サッカーノートを書いてうまくなるんですか』『坊主(頭)にして世界に行けるんですか』というスタンス。中村俊輔・日本代表コーチのサッカーノートの本とか、長谷部誠コーチの『心を整える』とかを読んでいたら、自分から積極的に取り組んだかもしれないけど、自分に必要がないと思うことは興味を示さないところがありました」
──指導者泣かせですね。
「そういう子を説得するのが、教師である僕の仕事。『キミが大学へ行ったり、プロになった時、字がキレイかどうかで判断されるよね』『言葉遣いが悪かったら相手に失礼になるよ』『今のままだとスポーツ推薦で早稲田や明治に行くのは到底ムリだから』といった話をして、やる気を促していました。ただ、卒業後に大地がグランドに来て、いろんな話をするたびに『確固たる自分の考えを持った彼のような選手が、僕ら指導者の枠を超えたすごい選手になるんやな』と痛感させられます」
──確かにそうですね。
「それは三笘君も同じ。僕は彼を川崎のジュニアユースの頃から知っていたんですけど、ユースの練習試合に出ていてメチャメチャすごかった。『ウチにも鎌田という変わり者がおるんで、こっちで預かりますよ』と川崎の指導者に言ったら、『あの子もこだわりが強すぎて周りに理解されなくて損してるところがある』と話していたんです。久保建英君(レアル・ソシエダ)もそうかもしれないですけど、飛び抜けていく選手は日本仕様じゃない考え方を持っている。それを僕は大地と出会って感じました」


















