著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

久保建英らU17メンバーへ「おまえら、どうせ消える」 合宿のたび言ったワケ(U17日本代表元監督・森山佳郎)

公開日: 更新日:

 15日にW杯メンバーは発表された。その動向を注視していたひとりが、2015~23年にU17日本代表監督を務めた森山監督だ。愛弟子のひとりで代表の主軸に成長した久保について振り返った。

  ◇  ◇  ◇

 ──U17代表を4世代指揮して日本代表に10人近い選手を輩出した。

「年代別代表経験が皆無に近い選手が(日本代表の)主力だった。JFAから『この状況を変えてほしい』という要請もあり、『大物になる可能性のある選手を育てる』という方針で選手を選びました。就任時(2015年)に(久保)建英は13歳。バルサの育成組織に所属し、年齢に関係なく『俺にボールをよこせ』と要求できる日本人離れしたメンタリティーの持ち主でした。その建英への注目度は高く、瀬古(歩夢)や(菅原)由勢は『俺を見てくれ』と強烈なライバル心を持っていたと思います」

 ──個性豊かな集団「00年世代」が久保の成長を加速させた?

「そうですね。ハーフタイムの言い合いなんか何度もありました。タケが守備陣に『ちゃんと守れよ』と注文し、瀬古や由勢、谷(晃生)が『おまえは守備しないくせに何言ってるんだ』と反論して喧々囂々になったこともありました。今の若い世代は、面と向かって意見をぶつけ合うようなケースがほぼないだけに、彼らの負けん気の強さは印象的でした」

 ──彼らは「打てば響く」子供たちだった。

「僕はU17代表合宿のたびに『おまえら、どうせ消える』と言い続けました。年代別代表から日本代表に上り詰める選手はほとんどいなく、その実情をピッチ上や室内ミーティングで口を酸っぱく言い続けました。そのたびに選手たちは『うるさいな』『今に見てろ』と反発心を燃やしたはずです。由勢なんかは『20代半ばになった今もその言葉を忘れることはない』と言っているようです」

「生粋のサッカー小僧の向上心の強さはさすが」

 ──言葉での刺激以外でも選手たちのタフネスを磨き上げた。

「インドネシア、ウズベキスタン、ギニア、メキシコ、チリと世界中に遠征させてもらった。インドでは選手23人中18人が食中毒のような症状になった。食生活の自己管理や環境適応の重要度、時差調整など移動の大変さを痛感し、代表活動の難しさを再認識した」

 ──そういう経験から久保選手は、19年6月に日本代表にデビューしてから、序盤の苦境を乗り越えられたのかも。

「デビューして3年、得点できなかった。最初は『入りそうで入らない』という印象だったが、どんどんゴールから遠ざかっていくようにも感じられて気にはしていました。森保監督から使われない時期もあり、本人も悔しさを味わったことでしょうが、22年6月のガーナ戦で初ゴールを挙げ、その年のカタールW杯にも参戦して今は中心選手になった。生粋のサッカー小僧の向上心の強さはさすがですね」

(聞き手=元川悦子/サッカージャーナリスト、絹見誠司/日刊ゲンダイ

久保建英(くぼ・たけふさ) 2001年6月4日生まれ、24歳。神奈川・川崎市出身。小学3年でJ川崎の下部組織入り。11年にスペインに渡ってバルセロナの年代別チームでプレー。15年にJ・FC東京の下部組織に入団。中学3年でJデビューした。19年6月にスペイン1部レアル・マドリードに移籍。マジョルカなどを経て22年からレアル・ソシエダードでプレーしている。19年5月に日本代表初選出(21世紀生まれ初)。21年開催の東京五輪に出場。身長173センチ・体重64キロ。

▽森山佳郎(もりやま・よしろう) 1967年11月9日生まれ、58歳。熊本市出身。筑波大卒。94年にJ広島の主軸右SBとして前期優勝に貢献した。横浜F、磐田、平塚でプレーして99年に引退。元日本代表。広島ユース監督、U15日本代表監督などを経て23年にU17日本代表を率いてアジア杯(タイ)に出場して優勝。24年にJ仙台の監督に就任した。

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