佐々木朗希の“完成形”は日本で見られない…最終年キャンプで見透かされていた“故障回避優先”

公開日: 更新日:

2024年2月の記事③を再掲載

 佐々木朗希が不甲斐ない投球を見せるたび、SNS上では辛辣な声が吹き荒れる。高卒3年目に1試合19奪三振の日本記録、史上最年少の20歳5か月で完全試合を達成するなど投手として圧倒的なポテンシャルを持ちながら、なぜここまで叩かれるようになったのか。

 その背景には、ファンから「ゴネ得」とも揶揄された米挑戦騒動がある。23年オフに大きな物議を醸した古巣ロッテとの泥沼交渉劇、24年シーズンの不完全燃焼、そしてタンパリング疑惑まで取り沙汰されたドジャース入り──。日本球界最後の1年に何があったのか。当時の記事で振り返る。年齢、肩書は当時のまま。

  ◇  ◇  ◇

 5日のロッテ石垣島キャンプ。雨が降る中、佐々木朗希(22)はアップ、キャッチボールなど軽めのメニューをこなした。

 練習後には室内練習場のそばで30分間の即席サイン会を開催。行列をつくった約200人のファンの色紙にペンを走らせた。

 その佐々木はこのオフ、球団にポスティングによるメジャー挑戦を直訴。早ければ今年24年オフにも実現する可能性がある。第1クールでは早速、フィリーズとカージナルスのスカウトが視察に訪れるなど、今後はメジャースカウトによる「朗希詣で」が過熱するのは間違いない。

 メジャー挑戦を見据える佐々木にとって、今季は真価を問われる1年になる。

 2020年の入団以降、球団の育成プランに沿ってイチから体づくりに取り組むなど、じっくり育てられてきた。大船渡高3年時に163キロをマークしたものの、チーム関係者は入団当初、「体力は高校生以下。160キロを投げ続けたら、たちまち肩、肘が壊れる」と言っていた。

 カラダへの負担を考慮して登板間隔に余裕を持たせたこともあり、過去4年間で2ケタ勝利を挙げたことも、規定投球回に到達したこともない。

 それだけに評論家諸氏からは、

「メジャー挑戦はいくらなんでも早すぎる。ワガママだ」

「直訴するのは2ケタ勝って、規定投球回に到達するなど1年まともにやってからの話」

「1年間まともに投げていないのに、今メジャーに行ったらカラダが壊れる」

「昨季まで2年連続でマメを潰して離脱している。今季も心配だ」

 などと、否定的な声が出ているのも事実だ。

 投手として未完成であることは佐々木自身も認識している。だからこそ、キャンプイン時に「昨年、一昨年の成績を超えたい」と、年間通してのローテ入りと、現在165キロの最速記録の更新に対して、前向きなコメントをしている。令和の怪物の完成形を見せ、規定投球回に到達、15勝あるいは20勝をマークしてチームを優勝に導けば、早期のメジャー挑戦に否定的な向きも黙り込むに違いない。

「とはいえ、今はいくらヤル気でも、結果的に“公約”が実現しない可能性はあります」とは、中堅のロッテOBだ。

「あくまで朗希はメジャーでバリバリ投げることが最大の目標。電通を中心とした朗希の“取り巻き”もそう考えているはずです。仮に今オフに渡米するとなると、『25歳ルール』によってマイナー契約しか結べませんが、すでに米球界では、ドジャースと12年総額約450億円という投手最高額で契約した山本由伸以上に高い評価を受けている。今季、メジャーに向けてアピールする必要は一切ない以上、何より無理をして故障することだけは絶対に避けたい。まして朗希はプロ入り以降、少しでもカラダに異変を感じると、自ら首脳陣に登板回避を直訴していたほど。年間通してのフル回転、最速記録の更新に過度な期待は禁物です」

 日本ハムで5年間プレーし、2018年に23歳でエンゼルスとマイナー契約を結んだ大谷翔平は昨季、本塁打王に加え、2回目のMVPを受賞するなど在籍6年間、投打二刀流で大活躍。今季、ドジャースと「10年総額1000億円」の超大型契約を結んだ。佐々木もマイナー契約を結べば、同郷・岩手の先輩の後を追うことになる。

 米球界に詳しいジャーナリストは言う。

「しかしその大谷は移籍1年目の6月にいきなり右肘を故障、9月に復帰登板を果たすも、同年オフにトミー・ジョン手術に追い込まれ、昨年9月にも2度目の手術を受けた。大谷以外にも、若くしてメジャーデビューして投げ続けた結果、早期の故障、手術に追い込まれた投手は少なくない。09年ドラフトで、史上最高の投手といわれてナショナルズから全体1位で指名されたスティーブン・ストラスバーグも、1年目の22歳でメジャーデビューを果たすも、12試合に登板、68イニングを投げただけで右肘靱帯を断裂。トミー・ジョン手術を受けています。佐々木も日本では肩肘の消耗を減らしておくに越したことはありません」

 入団2年目の12年、23歳でメジャーデビューし、10試合登板で3勝したマット・ハービー(メッツ=当時)は翌13年、26試合、178回3分の1を投げ、9勝目を挙げた8月に右肘靱帯を部分断裂。同年オフにトミー・ジョン手術に追い込まれた。

 さらに、21歳で28試合に登板、12勝したホセ・フェルナンデス(マーリンズ)も翌14年5月に右肘靱帯を断裂し、同手術を受けた。

 大谷らの事例を見ればなおさら今季の投球は慎重にならざるを得ない。

 刻一刻とメジャー入りが近づく「令和の怪物」だが、日本ではその完成形を見ることはできないかもしれない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    米球界挑戦の横浜・織田翔希は間違いなく巨人入りに翻意する 松井監督誕生で見えた“説得の筋書き”

  2. 2

    (1)松井秀喜監督で“淘汰される選手” 「確率が高いものを大切に。守備走塁は100%」の真意

  3. 3

    松井秀喜は優勝旅行にバット持参 初日の夜から汗だくでスクワット「凄い。こいつには勝てないわ」

  4. 4

    坂本勇人は巨人“ポスト松井”確定か…由伸、阿部を押しのける筆頭候補になり得る理由

  5. 5

    (6)甲斐拓也が松井巨人に“切られた”本当の理由…成績低迷に加え「福岡帰省連発」でもヒンシュク買っていた

  1. 6

    阪神・藤川監督に「裸の王様」の懸念 選手&スタッフを驚愕させた「コーチいびり」

  2. 7

    ソフトバンク戦力外の秋広優人「巨人出戻り」に現実味…「55」の先輩・松井監督就任が追い風に

  3. 8

    (3)吉田正尚が松井巨人“ご祝儀補強”に急浮上! 年俸28億円の大物獲りで問われる球団の本気度

  4. 9

    2026年波乱のドラフト もっとも「得した球団」は中日、「損した球団」は…?

  5. 10

    先輩のオレを“ただの運転手扱い”も…チームの仲間ですら松井秀喜は「特別な人間」という意識があった

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    木村拓哉の千葉支援に重なる“解散から10年”SMAPの絆 義援金2000万円を届けた行動力

  2. 2

    阪神・藤川監督に「裸の王様」の懸念 選手&スタッフを驚愕させた「コーチいびり」

  3. 3

    キムタク「千葉2000万円」vs 中居正広氏「能登3000万円」…芸能人義援金ランキングと、本当に問われていること

  4. 4

    米球界挑戦の横浜・織田翔希は間違いなく巨人入りに翻意する 松井監督誕生で見えた“説得の筋書き”

  5. 5

    巨人の「織田翔希1位強行指名」と28年前の「松坂騒動」…横浜希望が一転、西武入りした経緯を振り返る

  1. 6

    藤川阪神の日本シリーズ敗戦の内幕 「こんなチームでは勝てませんよ!」会議室で怒声が響いた

  2. 7

    藤川阪神から「コーチ大脱走」でFA補強に不穏な影…これほど雰囲気の悪い球団に誰が行く?

  3. 8

    新弟子に陰湿イジメ 引退勧告受けた貴ノ富士の呆れた行状

  4. 9

    茂木外相に「ウソ答弁」発覚! 高市首相「G7オンライン会合」ドタキャン疑惑で虚偽を重ねて墓穴

  5. 10

    テニス部キャプテンを務めた“スポーツマン”日村勇紀と“お嬢様”神田愛花が歩んだキャリア

おすすめ求人情報

消防設備士/年間休日115日/未経験スタートでも高収入実現可能
VTT株式会社 岐阜県 岐阜市 正社員
月給25万円~
「経験者歓迎」インフラ施工管理職/年間休日125日/高収入/福利厚生充実
株式会社アールエフテクニカ 兵庫県 姫路市 正社員
月給42万円~70万円
歯科衛生士/高収入を得たい方におすすめ
AERU歯科&矯正歯科 東京都 杉並区 アルバイト・パート
時給2,500円~2,800円
3交代電池工場で現場回りや在庫管理/年休123日シフト制/高収入
株式会社平山 兵庫県 三木市 正社員 / 派遣社員
月給25万円
小規模多機能施設/夜勤専従の介護職/深夜帯時給アップ/高収入/シニア世代も活躍中/秋田市
株式会社ヒロキャリアスタッフ 秋田県 秋田市 派遣社員
時給1,100円~1,200円
Sponsored by 求人ボックス