著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

上田綺世〈後編〉 ブラジル戦とイングランド戦のプレーを見て進化を強く感じた(法政大サッカー部元監督・長山一也)

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FW上田綺世(オランダ1部フェイエノールト/27歳)

 法政大在学中の2019年7月末にサッカー部を離れ、鹿島入りした上田。プロ2年目には早くも2ケタゴールを奪い、2022年夏には欧州へ。セルクル・ブルージュでも1年目で22点という数字を残し、フェイエノールトで25/26年シーズンの得点王に輝くに至った。法政大時代の恩師・長山一也監督(現東海1部=FC.ISE-SHIMA監督)は「綺世はフェイエへ行って格段に成長した」と感慨深いものを感じている──。(【前編】からつづく)

  ◇  ◇  ◇ 

 ──鹿島入り直前の2019年コパアメリカ(ブラジル)で日本代表デビューした時の上田綺世選手をどう見ていましたか?

「あの大会ではゴールこそ取れなかったですけど、世界相手にマークを外してシュートを打てたことだけでもすごかったと私は思っています。当時の綺世は法政の選手。大学サッカーとはGKやDFのサイズ感も圧力、間合いの詰め方も全然違う。『慣れれば十分やれる』と本人も感じたことに意味があったはずです。それに最初は苦労した方がいい。鹿島ジュニアユースからユースに上がれず、鹿島学園から鹿島に入れなかったり、彼は数々の挫折をバネに成長しています。何事にもへこたれず、前向きに取り組める真面目さを持ち合わせた男なんです。周りに三笘(薫=ブライトン)のような素晴らしい選手がいたこともよかったでしょうが、全然現状に満足する感じがない。向上心が凄まじいですね」

 ──2022年カタールW杯の時には「自分は何もできなかった」と挫折感を吐露していました。

「本人も『ベルギーからやり直します』とメッセージをくれました。その言葉通り、地道な努力を続けていました。法政の時は後輩を連れて食事に行ったりしていましたけど、綺世はヤンチャなところが全くない。お父さんからも厳しく育てられたと聞いていますけど、全てを前向きに捉えて自分のために取り組んでいた。早く結婚して欧州へ行ったことも含めて、ストイックに高みを目指しているなと感心します」

 ──プロ生活の中で一番のターニングポイントはどこだと思いますか?

「2024年夏のフェイエノールト移籍でしょう。1年目はアルネ・スロット監督(現リバプール監督)の下で思うように出番を得られずに苦労していましたけど、ファンペルシー監督との出会いがよかったですね。それを引き寄せる運を彼は持っているんです。今季序盤だった昨年夏に綺世と電話で話したんですけど、『鹿島もセルクル・ブルージュも、どちらかというとカウンター系のサッカーをしていて、FWの自分は背後と狙う仕事が多かったけど、フェイエノールトはボールを握るチーム。敵のDFを背負って壁になる仕事が多く求められるんで、それができるようになるまで時間がかかりました』と言っていましたね。コーチに付き合ってもらってポジショニングを修正したり、相手の背負い方を工夫したりする作業に2年くらいかかったようですが、ポストプレーは格段にレベルアップしましたね」

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