著者のコラム一覧
春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。98年から五輪批評「スポーツ思考」(メルマガ)を主筆。https://genkina-atelier.com/sp/

「戦死者ヘルメット」が失格処分の当然 ウクライナは五輪を戦場に変えてしまった

公開日: 更新日:

 オリンピック憲章第50条第2項は「オリンピック領域ではどこであろうといかなる形のデモも、政治的、宗教的、人種的な宣伝も認められない」としている。これはオリンピックが守らなければならない根本である。オリンピックの時間と空間はオリンピック精神によって統治されなければならず、その五輪空間を律する重要な条項である。

 オリンピックがスポーツによる世界平和構築を唱える原理は、政治を超えない限り人類が調和する世界をつくることができない歴史的体験に基づいている。現在の日本を見ても分かるように憲法9条を守ろうとする人々がいる一方で、防衛のための軍事強化が当然と考える人々がいる。政治的意見は必ず分裂する。それを政治的に解決せんとしても限界があり、武力行使に及ぶのが当然と思う国家も厳然と存在する。

 ところが、スポーツでは同じルール下で武器なき戦いを挙行する者同士に敬愛が生まれる。スポーツを使い平和の祭典を継承することで和平への道を見つけるのがオリンピズムの本懐である。故に第50条第2項は死守されなければならない。


 スケルトン男子のウクライナ代表、ヘラスケビッチ選手は自らの競技用ヘルメットによって政治的プロパガンダを試みた。ヘルメットにはロシアによる侵攻で戦死したウクライナ選手ら24人の肖像が描かれていた。練習時に発覚したので、国際オリンピック委員会(IOC)はヘルメット使用禁止を通告した。

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