構造技術の進化の歴史をたどる「驚嘆の構造図鑑」斎藤公男ほか著 越井隆イラスト
「驚嘆の構造図鑑」斎藤公男ほか著 越井隆イラスト
世界遺産に登録されているような歴史ある建築物や建造物を目にすると、コンピューターや重機がない時代に、どのようにして造ったのか、誰もがその途方もない労力と先人たちの知恵に感嘆する。
人間の歴史は建築や建造物の歴史ともいわれ、それは構造技術の歴史ともいえる。本書は、その構造技術の歴史を、国内外の建築・建造物を例にたどるイラスト図鑑。
エジプト・サッカラにあるジョセル王の階段状ピラミッドは、ギザの三大ピラミッドよりも前、古代エジプト文明が造り出した最初のピラミッドで、紀元前2600年ごろに建設された。
何千年もこの形状を維持してきた構造的な仕掛けは、石材を垂直に積むのではなく、内側に75度の傾斜をつけて積んでいることにある。それによって積み上げた石材が外側に向かって動き出すのを抑止しており、「バットレス(控え壁)の効果」を与えているそうだ。
さらに、ピラミッドの形には、土や砂などの粉粒体が崩れないで安定しているときの斜面の最大角度「安息角」が大きくかかわっている。
この安息角の特性とバットレスという構造的なアイデアによって現在の姿を保っていると考えられているそうだ。
そのほか、中心に穴をあけた輪切りの石(ドラム)を11個積み上げた柱で、地震時のズレやエネルギーを吸収するギリシャのパルテノン神殿をはじめ、ドームなど後の西洋建設に欠かせない技術となった「組積アーチ」を駆使したローマ時代のセゴビアの水道橋、世界最古の木造建築である法隆寺の五重塔を地震から守る「傾斜復元力と通し貫」など、古代から現代まで68物件を取り上げ、4500年に及ぶ構造技術の進化の歴史をたどる。
改めて先人たちの知恵に驚かされるに違いない。 (グラフィック社 2200円)



















