自分のアイデンティティを理解するために必要な4つの力
私たちが想像している以上に、会話は大きな効力を持ちます。マックスプランク研究所のハバーマスらによると、ストーリーテリングは感情を動かす力があるだけでなく、私たちの「自己理解」や「他者理解」にとっても重要な役割を果たすとうたっています。
私たちは子どもの頃から「楽しかった」「悲しかった」といったいろいろな思い出を持っています。しかし、それらの思い出をつなぎ合わせて、「自分の人生はこういうひとつの物語」と語れるようになるのは、人によってばらつきがあります。そこでハバーマスらは、さまざまな心理学の研究や理論をまとめ、「人はいつ、どのようにして自分の人生をひとつの物語として語れるようになるのか」という考え方を論理的に明らかにしようとしたわけです。
研究(2000年)によると、とりわけ青年期に自分の物語を理解・解釈する能力が高まり、「自分がどう変化してきたのか」「何が変わらないのか」といった、自分自身を捉える基盤が育っていくと説明しています。
また、人が自分の人生の物語を作るためには、4つのつじつまを合わせる力が育つ必要があるとも付言しており、出来事を起きた順番通りに並べて、時間の流れを正しく理解する「時間順に並べる力」。何歳で学校に入り、何歳で大人になるといった、世の中の一般的な「人生の進み方のルールを理解する力」。過去のあの出来事があったから、今の自分の性格や考え方があるんだといった、「過去の経験と今の自分を理由づけて説明する力」。バラバラに見えるいろいろな経験の中から、“自分らしさ”という「共通のテーマや価値観を見つけ出す力」──。これらが必要であると述べています。


















