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春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。98年から五輪批評「スポーツ思考」(メルマガ)を主筆。https://genkina-atelier.com/sp/

「戦死者ヘルメット」が失格処分の当然 ウクライナは五輪を戦場に変えてしまった

公開日: 更新日:

 しかし、ヘラスケビッチの意志は変わらなかった。「政治的デモではなく戦死者への追悼だ」と主張した。そこでIOCは試合開始前後にそのヘルメットを展示する機会を与え、競技中に黒い腕章をつけることを提案したが、本番レースに使用すると主張した。

 切り札としてIOC会長コベントリーが試合当日の朝、ヘラスケビッチを訪れて説得を試みたが無駄だった。IOC懲戒委員会は彼を失格とした。

 この選手の行動は勇気ある反戦運動に映るかもしれない。しかし、これが認められればコルティナのスライディングセンターは政治的プロパガンダの競技場となる。ボブスレー出場のイスラエル選手がガザ紛争の元となったハマスのテロに抗議するヘルメットをかぶることもOKになる。

 それでもコベントリーは懲戒委員会に特別措置を求め、ヘラスケビッチは大会追放を免れた。結果、ウクライナ選手団はスポーツ仲裁裁判所に提訴すると言い、ゼレンスキー大統領は「彼の行動を誇る。メダルよりも価値がある」と「自由勲章」授与を発表。シビハ外相は「IOCが排除したのはウクライナ選手ではなく自らの名誉」と非難。まさにウクライナは五輪を戦場に変えた。彼らの参加はIOCの全面支援によるというのに。

 IOCは毅然とすべきだ。「五輪はスポーツのスポーツによるスポーツのための時空である」と。大岡裁きはNGだ。 (つづく)

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