「灰色の犬」福澤徹三著
<社会の最底辺を描く警察小説>
かつて捜査4課の刑事だったが、捜査情報漏洩の疑いをかけられ、左遷された片桐誠一に、暴走族のリーダー、武藤が不審なものを見せた。メンバーの奥寺が伊能建設から盗み出した手提げ金庫に、4課の捜査員名簿が入っていたという。奥寺はその夜、変死体として発見された。一方、家電量販店を辞めた息子の遼平は金に困って090金融に頼り、返済のためのバイトも、伊能建設の社員とトラブルを起こしてクビになる。
それぞれに追い詰められた父子の状況がやがてクロスする、社会の最底辺を描く警察小説。
(光文社 2000円)