「福島原子力帝国」恩田勝亘著

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原発を廃止できるか

 しぶといモンスターのように頭をもたげてきた原発再興論。はたして原発を廃止できるのか。

■下請け作業員の犠牲の上に築かれた原発“城下町”

 第1次オイルショックで原発エネルギーが脚光を浴びてから3年後、「週刊現代」の若手記者だった著者は東電福島原発での被曝(ひばく)死の噂を聞きつけ、初めて取材に入る。それから35年後、東日本大震災が勃発。まさに福島原発で宿命的な惨事が起こったのだ。著者は最初の取材時をふりかえり、東電から仕事を受注した日立・東芝の孫請けやひ孫請けの作業員が置かれた過酷な労働環境を思い出す。

 彼らの犠牲の上に築かれたのは、「原子力ムラ」を上回る「原発帝国」だと著者はいう。他社に先駆け、福島の原発地区を「城下町」に仕立てるノウハウを蓄積した東電は全国にこれを広め、少しでも原発に不利な事故や事件、批判などを封じるすべを確立した。それは秘密結社さながら、原発マフィアとでもいうほかない。その正体は民主党政権の迷走ぶりにつけこんで国会証言の場でさえ利権誘導を欠かさない産官学共同体なのだ。他方、帝国の支配を逃れて「心の除染」をなしとげた、福島市の東に位置する伊達市のような例もある。行政と生協と地元市民が連携した実績も丁寧に紹介し、長年の取材にかけたジャーナリストの気骨を披露している。

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