「京都の喫茶店」木村衣有子著

公開日: 更新日:

■一度は訪ねてみたい京都のお薦め喫茶店

 チェーン店の進出とカフェブームに押され、昔ながらの喫茶店はすっかり影が薄い存在になってしまったが、京都の町には今も喫茶店文化が息づいている。本書は、そんな京都の喫茶店の名店15店を紹介するビジュアル・エッセー。それぞれの店のこだわりや店主のコーヒー哲学、積み重ねられてきた歴史をつづる。

 いまや観光スポットのひとつにもなっている「イノダコーヒ本店」の創業は昭和22年。カップに描かれた「向かい獅子」やコーヒー缶の「豆を運ぶロバの男」の絵は画家でもあった創業者の猪田七郎氏の筆による。今も昔も、朝7時の開店と同時に常連客はもちろん、ガイドブックを手にして一日の旅をここからスタートさせる観光客で客席がいっぱいになる。

 そのイノダよりもさらに古く、昭和5年開業の「進々堂」では、木漆作家の黒田辰秋が開業に合わせ同店のために制作したテーブルと椅子がいまだに大切に使われている。著者によると「当時はそれまで見たこともないような新しさに驚かされる店だったのが、今では、いつきても変わらないね、というのが『進々堂』への褒め言葉となっている」という。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手

  4. 4

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  5. 5

    timelesz篠塚大輝“炎上”より深刻な佐藤勝利の豹変…《ケンティとマリウス戻ってきて》とファン懇願

  1. 6

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  2. 7

    国民民主党“激ヤバ”女性議員ついに書類送検! 野党支持率でトップ返り咲きも玉木代表は苦悶

  3. 8

    池松壮亮&河合優実「業界一多忙カップル」ついにゴールインへ…交際発覚から2年半で“唯一の不安”も払拭か

  4. 9

    波瑠のゴールインだけじゃない? 年末年始スクープもしくは結婚発表が予想される大注目ビッグカップル7組総ざらい!

  5. 10

    アヤックス冨安健洋はJISSでのリハビリが奏功 「ガラスの下半身」返上し目指すはW杯優勝