「ライカでグッドバイ」青木冨貴子著
■「ベトナムのキャパ」になりたい
ベトナム戦争の惨状を撮影した「安全への逃避」でピュリツァー賞などを受賞した報道写真家・沢田教一。1970年、カンボジアの戦場で銃弾に倒れるまでのその34年の人生の軌跡を追ったノンフィクション。
1936年に青森市で生まれた氏は、浪人時代の写真店でのアルバイトをきっかけにカメラに開眼。米軍三沢基地での仕事を経て上京し、UPI通信写真部に採用される。報道写真家として名を上げたいと願う沢田は、ベトナム行きを志願するが上司に認められず、1965年に休暇をとって自費でサイゴンに飛ぶ。「ベトナムのキャパ」になりたいと死を恐れずに前線を駆け回ったその足跡を関係者らの証言を交えながら追う。
(筑摩書房 820円)