「足元の小宇宙」埴沙萠著

公開日: 更新日:

■身近な植物たちの生命の輝きを見つめる

 草木に魅せられ、半世紀以上にわたってその世界を撮影してきた82歳の植物生態写真家による写真エッセー。大反響を呼んだテレビ番組の書籍化だ。

 植物学を志していた19歳のときにサボテン研究家の龍胆寺雄(りゅうたんじゆう)氏と出会い、栽培の手伝いをしながらサボテンについて勉強。やがて龍胆寺氏の著書に掲載する写真を撮影するために、カメラを手にするようになったという。

 そうした中、厳しい環境下に生きるサボテンを作り出した自然の愛や生命の知恵は、足元の草にもそそがれているはずだと、身近な植物たちの生きていることの美しさや、生きる仕組みの素晴らしさをカメラに収めるようになる。

 本書では、森の一員になったばかりのクロマツの芽生えや、花びらも蜜ももたないカテンソウがばね仕掛けのおしべでピッチングマシンのように花粉を放り投げた瞬間、歌舞伎のクモの糸のように繊細な花びらが縦横無尽に開いたカラスウリの雌花、ツリフネソウの実がはじけて種が飛ぶさま、そして雨中で胞子を飛ばすシイタケなど、これまでの作品を紹介しながら、植物たちの世界を語る。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「マラソン」と「大腸がん」に関連あり? ランナー100人への調査結果が全米で大きな波紋

  2. 2

    巨人FA捕手・甲斐拓也の“存在価値”はますます減少…同僚岸田が侍J選出でジリ貧状態

  3. 3

    高市総裁「首相指名」に漂う不安…自民党内は“厭戦ムード”も燻る火種、飛び交う「怪文書」の中身

  4. 4

    秋季関東大会で横浜高と再戦浮上、27連勝を止めた「今春の1勝」は半年を経てどう作用するか

  5. 5

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  1. 6

    高市自民、公明からの三行半で早くも本性露呈…「やられたら秒でやり返す」「イキらなきゃ負け」のオラオラ体質

  2. 7

    出来たとしても高市政権は短命…誰も見通せない激動政局の行方を徹底分析(前編)

  3. 8

    佐川宣寿元理財局長のメール開示「遺族と話し合う」…森友文書で加藤財務大臣が明言

  4. 9

    進次郎氏落選もダメージなし? 妻・滝川クリステルが目指した「幸せ家庭生活」と耳にしていた夫の実力

  5. 10

    侍J井端監督 強化試合メンバー発表の裏に「3つの深謀遠慮」…巨人・岡本和真が当選のまさか