「ケネディ暗殺 ウォーレン委員会 50年目の証言(上・下)」フィリップ・シノン著、村上和久訳
■没後50年にして明かされた証言
ケネディ大統領暗殺からちょうど50年の昨年、愛娘キャロラインが駐日大使になった。いま再びケネディ神話がよみがえる。
ケネディ暗殺から1週間後、急きょ大統領に昇格したジョンソンは事件を調査する公式の委員会を発足させた。委員長は最高裁長官アール・ウォーレン。共和党員で保守派の法律家だが、保守派の期待に反してリベラルな判決を次々に打ち出し、歴史にはむしろリベラルな最高裁判事として記録されることになった法律家である。
委員会は最終的にリー・オズワルドの単独犯行説を打ち出したが、調査には手抜かりがあるとも噂され、いまに至るまで数々の陰謀説が飛び交った。
本書はこの世紀の悲劇の裏側を、没後50年に合わせて改めて調査したノンフィクション。ウォーレン委員会が判断するための材料となった現場での調査を、当時若手の法律家として手がけた世代が、いま高齢になって当時の模様を匿名で証言。それをもとに元「ニューヨーク・タイムズ」の敏腕記者がまとめた。共産主義シンパだったオズワルドが暗殺事件直前にキューバに旅した彼の背後関係に迫る本書はミステリー小説より迫力満点だ。