(3)なぜ盗撮をしたのか…自分でも説明できない
「やめたい自分」を知識と理解で高めていくこと。そして、「やりたい自分」を環境で抑えること──。「この両輪が回らなければ、依存症は治らない」と話すのは、数々の依存症患者と向き合ってきたライフサポートクリニックの山下悠毅院長。チャレンジ依存症である痴漢や盗撮も同様だ。
公立中学校で英語教師をしていた男性(守秘義務を守るため、特定できないように一部アレンジ)を例に説明する。
「34歳のとき、自宅の向かいの家の住人を盗撮したことが始まりです。半年ほどたった頃、相手に気づかれ通報され、逮捕、勾留となり、懲戒免職に。ただ、事件は示談が成立したため不起訴処分となった」(山下院長=以下同)
その後は学習塾の英語講師となり、問題行動も止まっていたという。
「しかし事件から3年後、無音のカメラアプリのインストールをきっかけに盗撮を再開した。常習となり、あるとき盗撮行為を通行人に気づかれ露呈した」
その際、被害者ではなく、気づいた通行人から高額の口止め料を請求されたそうだ。怖くなった男性は、ライフサポートクリニックを受診するようになったという。