「帳簿の世界史」ジェイコブ・ソール著、村井章子訳

公開日: 更新日:

 財務会計の歴史を概観し、国家の盛衰と会計責任の関係を描いた歴史ノンフィクション。

 古代ローマ初代皇帝アウグストゥスは、精密な会計を自身の政治的正統性と功績に結び付けた。しかし、その後、世界の政治指導者が財政の実績を公表するようになるまで長い年月を必要とした。

 最初に会計システムを開発し、財政と政治の責任を明確化したのは、イタリアの商業国家だった。ジェノバ共和国では、利益や損失の計算に欠かせない複式簿記で財政を記録していたという。フランス革命からアメリカ独立、そしてリーマン・ショックまで。会計責任という独自の視点で歴史を見つめ直したお薦め本。

(文藝春秋 1950円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  2. 2

    長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  5. 5

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  1. 6

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  2. 7

    レーダー照射問題で中国メディアが公開した音声データ「事前に海自に訓練通知」に広がる波紋

  3. 8

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  4. 9

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  5. 10

    巨人が現役ドラフトで獲得「剛腕左腕」松浦慶斗の強みと弱み…他球団編成担当は「魔改造次第」