「帳簿の世界史」ジェイコブ・ソール著、村井章子訳

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 財務会計の歴史を概観し、国家の盛衰と会計責任の関係を描いた歴史ノンフィクション。

 古代ローマ初代皇帝アウグストゥスは、精密な会計を自身の政治的正統性と功績に結び付けた。しかし、その後、世界の政治指導者が財政の実績を公表するようになるまで長い年月を必要とした。

 最初に会計システムを開発し、財政と政治の責任を明確化したのは、イタリアの商業国家だった。ジェノバ共和国では、利益や損失の計算に欠かせない複式簿記で財政を記録していたという。フランス革命からアメリカ独立、そしてリーマン・ショックまで。会計責任という独自の視点で歴史を見つめ直したお薦め本。

(文藝春秋 1950円+税)

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