「マモンの審判」宮城啓氏

公開日: 更新日:

■「今回描いたデリバティブを用いた横領手口は悪意があれば実現可能です」

「ファンドの会計や企業の税務業務に携わるなかで、いつも法的な範囲の中での有効な資金調達の手法や、運用資産の配分などを考えながら仕事をしているんですね。それは不正を防ぐ意味もあるんですが、あるとき、“こういうトリック”は可能ではないかと思いついたんです。そこから物語がスタートしました」

 長年、M&Aや投資に携わってきた現役税理士の著者による、国際経済ミステリーである。

 物語は、欧州のタックスヘイブン国ベルクールの銀行で、日本人の関与が疑われる1000億円の裏口座が発見されたことから幕を開ける。日本でのマネーロンダリングだとすれば史上最高額となる事件に、警察庁刑事局の金融情報機関FIUが動き出す。この捜査に加わることになったのが、財務分析力を買われた公認会計士の岸一真だ。

 捜査線上に次々に浮かぶ金融業界の不透明さを物語るような謎。やがて岸は、シンガポールに拠点を置くファンド会社に行きあたる。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  2. 2

    7代目になってもカネのうまみがない山口組

  3. 3

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  4. 4

    福山雅治のフジ「不適切会合」出席が発覚! “男性有力出演者”疑惑浮上もスルーされ続けていたワケ

  5. 5

    打者にとって藤浪晋太郎ほど嫌な投手はいない。本人はもちろん、ベンチがそう割り切れるか

  1. 6

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  2. 7

    DeNA藤浪晋太郎がマウンド外で大炎上!中日関係者が激怒した“意固地”は筋金入り

  3. 8

    収束不可能な「広陵事件」の大炎上には正直、苛立ちに近い感情さえ覚えます

  4. 9

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  5. 10

    吉村府知事肝いり「副首都構想」に陰り…大阪万博“帰宅困難問題”への場当たり対応で露呈した大甘な危機管理