「満洲難民 三八度線に阻まれた命」井上卓弥著

公開日: 更新日:

 1945年8月9日にソ連軍が侵攻。満州の首都・新京の日本人たちは、日本軍に置き去りにされ、情報もないまま町を離れる。本書は、その南下中、朝鮮北部の小さな町・郭山で難民生活を余儀なくされた日本人1000余人の過酷な脱出行を追ったルポルタージュである。

 貨車に詰め込まれ、たどり着いた郭山で強制的に下車させられた一行は国民学校に収容される。2日後、日本が降伏すると環境は一変。地元住民やソ連兵による略奪や暴行を受け、満州紙幣は暴落。飢餓と病気で死者が続出する。ソ連軍によって日本人の移動は禁じられ、やがて朝鮮半島も38度線で分断されてしまう。身動きが取れなくなった一行は、祖国を目指し決死の脱出を図る。(幻冬舎 1900円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  2. 2

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  3. 3

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  4. 4

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  5. 5

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 7

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 8

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾