話題作「アクト・オブ・キリング」のバート2「ルック・オブ・サイレンス」

公開日: 更新日:

 1965年のインドネシア大虐殺を追って話題になったドキュメンタリー「アクト・オブ・キリング」。その“パート2”が現在公開中で、再び評判を呼んでいる。ジョシュア・オッペンハイマー監督の「ルック・オブ・サイレンス」。

 前作はスカルノ政権下のクーデターに始まった共産主義者狩りで虐殺を実行した面々に迫り、喜々として惨殺の模様を語る姿を捉えて驚かせた。

 今回は逆に虐殺された側の遺族に寄り添い、加害者に向かって「ぼくの兄はあなたに殺されました」と語りかけるさまを見せるのだ。

 最初は監督も普通のドキュメンタリーのように加害者と被害者を一作の中で見比べる構成を考えていたらしい。

 だが取材の過程で相手の語りがみずからふくらんで、加被双方をそれぞれ扱う2部作になったのだという。

 普通こういう状態は、社会学でいうラポール(信頼関係)が取材する側とされる側の間に生まれた場合だが、映画を見るとむしろ取材される加害者と被害者それぞれの「当事者」意識の食い違いが2部作の対照をきわだたせたのではないかと思う。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    高市政権マッ青! 連立の“急所”維新「藤田ショック」は幕引き不能…橋下徹氏の“連続口撃”が追い打ち

  4. 4

    YouTuber「はらぺこツインズ」は"即入院"に"激変"のギャル曽根…大食いタレントの健康被害と需要

  5. 5

    クマと遭遇しない安全な紅葉スポットはどこにある? 人気の観光イベントも続々中止

  1. 6

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲

  4. 9

    「渡鬼」降板、病魔と闘った山岡久乃

  5. 10

    元大食い女王・赤阪尊子さん 還暦を越えて“食欲”に変化が