著者のコラム一覧
香山リカ精神科医・立教大学現代心理学部映像身体学科教授

1960年、北海道生まれ。東京医科大卒。NHKラジオ「香山リカのココロの美容液」パーソナリティー。著書に「執着 生きづらさの正体」ほか多数。

「きみを夢見て」スティーヴン・エリクソン著

公開日: 更新日:

 今や家族の幸せだけを願って奮闘するザンだが、子どもたちと出向いたロンドンでのいくつかの事件で、自らのイメージの中で、そして何よりアフリカから来た養女の存在により、民主主義や暴力、人種差別といった政治の問題にいや応なしに向き合っていくことになる。そのハードな旅でザン自身、そして家族はそれぞれが救済され、絆はいっそう深まっていく。

 小野正嗣は帯にこんなキャッチコピーを寄せている。「アメリカに救いはあるのか? あらゆる境界を越えて響く、傷ついた魂の歌」。そう、本書のもうひとりの主人公、それは音楽だ。そして私たちは、この「アメリカ」を「日本」に置き換えながらこの傑作を読まずにはいられない。果たして、この国に救いはあるのだろうか、と。(筑摩書房 1400円+税)


【連載】香山クリニックのしなやか本棚

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    草間リチャード敬太容疑者が逮捕…コンビニバイトと掛け持ちの苦労人だったが横山裕のセレクトに難あり?

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    自民党は戦々恐々…公明党「連立離脱」なら次の衆院選で93人が落選危機

  4. 4

    俺と巨人ガルベスの大乱闘の一部始終…落合博満さんのヘッドロックには気を失いかけた

  5. 5

    マエケンの「DeNA入り」が急浮上! 古巣広島まさかのNO、巨人はマー君が足かせで動けず

  1. 6

    まさかの故障で失意の最中「お前はラッキー」…トシさんの言葉がなければ今の俺はいない

  2. 7

    DeNA次期監督候補に谷繁元信氏が浮上…南場智子オーナーのイチオシ、本人も願ったりかなったり

  3. 8

    米倉涼子の"体調問題"が各界に波紋…空白の1カ月間に一体何が? ドラマ降板情報も

  4. 9

    参政党の党勢拡大に早くも陰り…「聖地」加賀市で“親密”現職市長が惨敗落選の波乱

  5. 10

    公明党が「自民との連立離脱も辞さず」の背景…まさかの“国政撤退”もあり得る深刻事情