「ドリームホーム 99%を操る男たち」住宅バブル崩壊を描くハリウッド映画

公開日: 更新日:

 社会派の映画というと辛気くさくて押し付けがましい話かと思ったら大間違い。来週公開の「ドリームホーム 99%を操る男たち」を見て、なるほど現代アメリカの社会派はこんな具合かと改めて納得した。

 持ち家はアメリカンドリームの象徴だが、この庶民のささやかな夢を狂わせたのがリーマン・ショック。住宅バブル崩壊で自宅を差し押さえられ、「99%の貧困層」に転落した米庶民の実態を描く本作は、もしこれがドキュメンタリーだったら普通にストレートな告発話になったかもしれない。

 だが、そこは純然たるハリウッド製劇映画。だからこそ、計算されたカメラと演技が過酷な現実を肌身に突きつける。

 実際、冒頭の差し押さえ場面から不動産屋の悪辣な仕打ちの裏面まで見ているだけで胸苦しくなるのだ。主演のアンドリュー・ガーフィールドも「スパイダーマン」のときよりずっと達者に本領発揮し、母親役のローラ・ダーンがしっかり支える。監督はラミン・バーラニというイラン系アメリカ人。共同脚本には西島秀俊主演「CUT」の監督だったイランのアミール・ナデリが入って、ハリウッドでも巧みに生きる国際派映画職人の気合を見せている。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    国分太一との協議内容を“週刊誌にリーク”と言及…日本テレビ社長会見の波紋と、噴出した疑問の声

  5. 5

    衆院定数削減「1割」で自維合意のデタラメ…支持率“独り負け”で焦る維新は政局ごっこに躍起

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  5. 10

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較