「居酒屋の戦後史」橋本健二著

公開日: 更新日:

 どんな酒を、どんなときに、どんな場所で飲んでいたのか。そんな酒文化の歩みから戦後社会の変遷を読み解いたテキスト。

 戦時中、物資不足で飲食店の開店休業状態が続く中、庶民たちは焼け野原で営業する「国民酒場」に列をつくったという。国民酒場とは戦中から戦後にかけてできた公的指導の下で営業した酒場だそうだ。その他、現在の居酒屋の源流の一つともいえる戦後の闇市の飲み屋街の風景から、ビールを一般階層にまで普及させたという戦時・戦後の統制下で製造された配給ビールの存在、そしてハイボールから水割りへと移り変わったウイスキーの飲み方の流行など。高度成長、総中流社会を経て、格差社会へと向かう日本を酒と居酒屋という視点から俯瞰する。

(祥伝社 820円+税)




【連載】新書あらかると

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  2. 2

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 3

    未成年の少女を複数回自宅に呼び出していたSKY-HIの「年内活動辞退」に疑問噴出…「1週間もない」と関係者批判

  4. 4

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  5. 5

    2025年は邦画の当たり年 主演クラスの俳優が「脇役」に回ることが映画界に活気を与えている

  1. 6

    真木よう子「第2子出産」祝福ムードに水を差す…中島裕翔「熱愛報道」の微妙すぎるタイミング

  2. 7

    M-1新王者「たくろう」がネタにした出身大学が注目度爆上がりのワケ…寛容でユーモラスな学長に著名な卒業生ズラリ

  3. 8

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  4. 9

    高市政権の積極財政は「無責任な放漫財政」過去最大122兆円予算案も長期金利上昇で国債利払い爆増

  5. 10

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手