「情け深くあれ」岩井三四二著

公開日: 更新日:

 信長が京に入り、市中は騒然としていた。医師・曲直瀬道三の弟子、英俊は道三の代診で、中風に苦しむ幕府の元奉行・松田駿河守の屋敷を訪れた。薬を処方して辞去しようとしたとき、「謀反の疑いあり」と呼ばわって7人の兵がなだれこんできた。

 兵の後に入ってきた50年配の男は明智十兵衛光秀と名のり、道三の弟子であると知ると、英俊の見立てを信じて引き揚げる。だが、恐れを見せず、医師として松田の病状を告げる英俊が元武士であることを見破り、「おれの家来にならぬか」と言う。(「情け深くあれ」)

 戦乱の世に武士を捨て、医師として生きる男を描く時代小説。表題作ほか6編。(文藝春秋 1600円+税)


【連載】今日の新刊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    JリーグMVP武藤嘉紀が浦和へ電撃移籍か…神戸退団を後押しする“2つの不満”と大きな野望

  2. 2

    広島ドラ2九里亜蓮 金髪「特攻隊長」を更生させた祖母の愛

  3. 3

    悠仁さまのお立場を危うくしかねない“筑波のプーチン”の存在…14年間も国立大トップに君臨

  4. 4

    田中将大ほぼ“セルフ戦力外”で独立リーグが虎視眈々!素行不良選手を受け入れる懐、NPB復帰の環境も万全

  5. 5

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  1. 6

    FW大迫勇也を代表招集しないのか? 神戸J連覇に貢献も森保監督との間に漂う“微妙な空気”

  2. 7

    結局「光る君へ」の“勝利”で終わった? 新たな大河ファンを獲得した吉高由里子の評価はうなぎ上り

  3. 8

    飯島愛さん謎の孤独死から15年…関係者が明かした体調不良と、“暗躍した男性”の存在

  4. 9

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  5. 10

    中日FA福谷浩司に“滑り止め特需”!ヤクルトはソフトB石川にフラれ即乗り換え、巨人とロッテも続くか