「北海道の逆襲」井上美香著

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 北海道新幹線が開通して、昨今何かと話題になる北海道。寄せられる期待に対して、その実態と今後の展望はどうなのか。本書は、札幌生まれの著者がご当地の特色や道産子気質、内地人が知らない北海道のトホホな実態も紹介しつつ、北海道を生かす方策を紹介した一冊だ。

 北海道に眠る未来のお宝は実は山ほどある。寒冷地帯特有の気候を活用した自然エネルギーもそのひとつ。たとえばIT化が進んだ昨今、クラウド上でデータ管理をするクラウドコンピューティングが広く普及し、企業がデータを蓄積するデータセンターの需要が高まったが、熱に弱いコンピューターには冷却装置が必須という事情がある。

 そこで安価で広大な敷地が用意でき、数万トンの雪を利用した低コストの冷却装置を利用できる地として美唄市や石狩市が積極的に企業を誘致している。かつて「黒いダイヤ」といわれた石炭で沸いた工業団地が、「白いダイヤ」と呼ばれる雪で生まれ変わる可能性大だ。(言視舎 1400円+税)


【連載】週末に読みたいこの1冊

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