「長生きしても報われない社会」山岡淳一郎著
医療や介護への不安や不信から、長生きすることへの恐れが社会全体を覆っている。それを象徴するように、介護や看病疲れによる殺人や無理心中は、未遂を含め年平均1000件以上に上る。
本書は、人間らしい医療や介護が行われている現場を紹介しながら、現場を基点に、地域、自治体、国へと同心円状に課題を抽出したリポート。
在宅医療の先駆者である神奈川の杉山孝博医師に同行し、家族が抱える苦労や、独居障害者が訪問診療や介護だけで生活をしている例を紹介しながら、在宅医療の光と影を見つめる。
その他、みとりや認知症ケア、厚労省推奨の「地域包括ケア」などの最前線を取材。よりよい介護や医療を実現するための方途を示す。(筑摩書房 820円+税)