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「リストランテアモーレ」井上荒野著

 目黒の小さなレストラン「アモーレ」は、姉・偲が給仕し、シェフの弟・杏二が料理を作る知る人ぞ知る小さなレストラン。子牛のカツレツ、マグロのカルパッチョ、ポルチーニのリゾット、野生アスパラガスのタリオリーニ、鯛のアクアパッツア、レモンパイなどなど、客を飽きさせないおいしい料理が次から次へと供され、訪れた客はすぐにファンになって常連客と化す。

 しかしながら、来る者を拒まない優しさを持つ杏二は、そのフレンドリーさが災いして女性客の心を惑わせ、来店カップルの女性の方をお持ち帰りしてしまうという天才的な技も発揮。逆に恋愛には不器用な偲は、長年の片思いをこじらせつつあった。果たして、愛の名のつく店内で繰り広げられる恋の行方はいかに……。

 本書は、俵万智が「行間にワインの香りがしみこんでいる」と評した料理小説。若い女子とのデートに使えそうな数々のおいしい料理と共に、食べること、愛することを楽しむ人々の幸福感を味わってみたい。(角川春樹事務所 560円+税)

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