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「まぼろしのお好み焼きソース」 松宮宏著

 静岡県富士宮市で育ち、地元の教育大学に通いながら焼きそば店でアルバイトをしていた磯野祥子は、アルバイト先の店がB級グルメ選手権で優勝したことをきっかけに、「粉もん」のソース研究にのめり込む。日本のソース製造のルーツが神戸であることを知り、いつしか神戸に憧れるようになっていた祥子だったが、いざ就職という段になって教職の募集があったのが神戸市長田区。これは運命だと思った祥子は、迷うことなく神戸に向かった。

 ソースの迷宮のような町に迷い込んだ祥子は、そこで経営の危機を迎えている小さなソース工場に出合う。果たして、その小さなソース工場はその存亡の機から脱出できるのか……。

 神戸の町を舞台に庶民の味を支えるソース工場救済に向けて、さまざまな人々が入り乱れて知恵を出し合う人情物語。鉄板の上でいい匂いを醸し出すソースが、ページの間からこぼれてきそう。読後、すぐにお好み焼きを食べたくなること必至!(徳間書店 690円+税)

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