公開日: 更新日:

「まぼろしのお好み焼きソース」 松宮宏著

 静岡県富士宮市で育ち、地元の教育大学に通いながら焼きそば店でアルバイトをしていた磯野祥子は、アルバイト先の店がB級グルメ選手権で優勝したことをきっかけに、「粉もん」のソース研究にのめり込む。日本のソース製造のルーツが神戸であることを知り、いつしか神戸に憧れるようになっていた祥子だったが、いざ就職という段になって教職の募集があったのが神戸市長田区。これは運命だと思った祥子は、迷うことなく神戸に向かった。

 ソースの迷宮のような町に迷い込んだ祥子は、そこで経営の危機を迎えている小さなソース工場に出合う。果たして、その小さなソース工場はその存亡の機から脱出できるのか……。

 神戸の町を舞台に庶民の味を支えるソース工場救済に向けて、さまざまな人々が入り乱れて知恵を出し合う人情物語。鉄板の上でいい匂いを醸し出すソースが、ページの間からこぼれてきそう。読後、すぐにお好み焼きを食べたくなること必至!(徳間書店 690円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々