「京のにゃんこ」京都しあわせ倶楽部ねこ課編

公開日: 更新日:

 世は空前の猫ブーム。ブログアイドル猫や店の看板猫、猫駅長など、全国各地に有名猫が存在する。古都・京都にも、観光客を招き寄せる評判の猫たちがいる。本書は、そんな京都の人気猫たちを紹介するビジュアル・ガイドブック。

 明治17年創業の豆菓子の老舗「船はしや総本店」の店長は7歳のシロ(♂)。店のガラス戸の近くでいつも日なたぼっこをしている。ものおじをせず、客を迎えることから、いつしか店長と呼ばれるようになったという。朝夕、ご近所をパトロールして歩く町の人気者でもある。店にはほかにもシロの母親のエミリや兄のピーなど5匹の猫がおり、運が良ければ全員と会うこともできる。

 寺町通りにあるシロの店から「下った」ところにある「WRIGHT商會 三条店」は、猫好きの間では知らぬ人のいない猫のいるアンティークカフェ。

 同店の三毛猫・梅子(♀3歳)は、先代の金太郎から看板猫を引き継ぎ、修業中だとか。

 京都随一の繁華街・河原町の喫茶店「茶房 白い花」のギンちゃん(♂7歳)は、常連客のアイドル。夕方になると、カウンターの隅で前足に顎を乗せてリラックスするそのユニークなポーズで人気となり、全国にファンがいるという。

 その他、ベンガル猫だけを集めた「京都ひょう猫の森」などの猫カフェから、鴨川の河原や梅小路公園に出没する地域猫など。「河原町・御池・二条あたり」をはじめ、それぞれの地域別に人気猫スポットを紹介。

 京都の西を流れる桂川の近くにある梅宮大社は、日本最古の酒造の神様を祭り、子授け・安産の御利益でも有名だが、境内になんとサビ猫のキラ(♀13歳)をはじめ16匹の飼い猫がいる注目の猫スポット。軒先にいた猫の親子の世話をするうちに次々と集まり一時は11匹まで増えたという三十三間堂近くの銭湯「さくらゆ」では、甘えん坊のマイケル(♂7歳)らが番台や脱衣所で出迎えてくれる。ロシアンブルーのリリーちゃん(♀5歳)が「猫女将」を務めるのは、京都駅近くの「藤屋旅館」だ。

 どの猫も飼い主たちの愛情をたっぷりと受け、自由気ままに猫らしく生き、その可愛らしさとツンデレぶりで訪れる人を癒やしている。野良出身の猫たちも多く、血統書など持ち合わせていないが、一匹として同じ柄がないその個性がブランド猫も太刀打ちできない魅力を放ち、京都の和の風情と絶妙なマリアージュを生み出している。

 猫の写真に添えられた吹き出しの「セリフ」に心がほっこり、京都に行く楽しみがもうひとつ増える愛猫家必携ガイド。(PHP研究所 1300円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  3. 3

    「おこめ券」迫られる軌道修正…自治体首長から強烈批判、鈴木農相の地元山形も「NO」突き付け

  4. 4

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  5. 5

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  1. 6

    12月でも被害・出没続々…クマが冬眠できない事情と、する必要がなくなった理由

  2. 7

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  4. 9

    黄川田地方創生相が高市政権の“弱点”に急浮上…予算委でグダグダ答弁連発、突如ニヤつく超KYぶり

  5. 10

    2025年のヒロイン今田美桜&河合優実の「あんぱん」人気コンビに暗雲…来年の活躍危惧の見通しも