「大暴落 ガラ」幸田真音著

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 黒木瞳主演でドラマにもなった「スケープゴート」の続編。

 前首相の突然の病によって日本初の女性総理大臣に就任した三崎皓子。トンビに油揚げをさらわれた感じの与党主流派は政治経験がなく、女性である皓子に対して、何かと難癖をつけ、組閣も思うようにいかない。そこへ、荒川上流の集中豪雨により、下流域決壊の恐れがあるとの情報がもたらされた。

 決壊したら、東京の中心部は未曽有の水害にさらされる。早急に手を打つべく、皓子は組閣を急ぎ、各大臣に窮状を訴えるが、皆、高をくくって動こうとしない。おまけに、大量の国債の買い入れを行ってきた日銀の信用がついに失墜し、世界市場で急激な円安を引き起こしていた。洪水と株の大暴落という二重の危機を前に、皓子は緊急事態宣言を発令し、この難局に立ち向かっていく――。

 いわゆるシミュレーション小説だが、小説通りのことが今起こっても不思議ではないようなリアルな描写に、こうした危機に現政権がどう対応できるのか考えさせられる。(中央公論新社 1700円+税)

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