「大暴落 ガラ」幸田真音著

公開日: 更新日:

 黒木瞳主演でドラマにもなった「スケープゴート」の続編。

 前首相の突然の病によって日本初の女性総理大臣に就任した三崎皓子。トンビに油揚げをさらわれた感じの与党主流派は政治経験がなく、女性である皓子に対して、何かと難癖をつけ、組閣も思うようにいかない。そこへ、荒川上流の集中豪雨により、下流域決壊の恐れがあるとの情報がもたらされた。

 決壊したら、東京の中心部は未曽有の水害にさらされる。早急に手を打つべく、皓子は組閣を急ぎ、各大臣に窮状を訴えるが、皆、高をくくって動こうとしない。おまけに、大量の国債の買い入れを行ってきた日銀の信用がついに失墜し、世界市場で急激な円安を引き起こしていた。洪水と株の大暴落という二重の危機を前に、皓子は緊急事態宣言を発令し、この難局に立ち向かっていく――。

 いわゆるシミュレーション小説だが、小説通りのことが今起こっても不思議ではないようなリアルな描写に、こうした危機に現政権がどう対応できるのか考えさせられる。(中央公論新社 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    DeNA三浦監督まさかの退団劇の舞台裏 フロントの現場介入にウンザリ、「よく5年も我慢」の声

  2. 2

    日本ハムが新庄監督の権限剥奪 フロント主導に逆戻りで有原航平・西川遥輝の獲得にも沈黙中

  3. 3

    佳子さま31歳の誕生日直前に飛び出した“婚約報道” 結婚を巡る「葛藤」の中身

  4. 4

    国分太一「人権救済申し立て」“却下”でテレビ復帰は絶望的に…「松岡のちゃんねる」に一縷の望みも険しすぎる今後

  5. 5

    白鵬のつくづくトホホな短慮ぶり 相撲協会は本気で「宮城野部屋再興」を考えていた 

  1. 6

    藤川阪神の日本シリーズ敗戦の内幕 「こんなチームでは勝てませんよ!」会議室で怒声が響いた

  2. 7

    未成年の少女を複数回自宅に呼び出していたSKY-HIの「年内活動辞退」に疑問噴出…「1週間もない」と関係者批判

  3. 8

    清原和博 夜の「ご乱行」3連発(00年~05年)…キャンプ中の夜遊び、女遊び、無断外泊は恒例行事だった

  4. 9

    「嵐」紅白出演ナシ&“解散ライブに暗雲”でもビクともしない「余裕のメンバー」はこの人だ!

  5. 10

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢