「大暴落 ガラ」幸田真音著

公開日: 更新日:

 黒木瞳主演でドラマにもなった「スケープゴート」の続編。

 前首相の突然の病によって日本初の女性総理大臣に就任した三崎皓子。トンビに油揚げをさらわれた感じの与党主流派は政治経験がなく、女性である皓子に対して、何かと難癖をつけ、組閣も思うようにいかない。そこへ、荒川上流の集中豪雨により、下流域決壊の恐れがあるとの情報がもたらされた。

 決壊したら、東京の中心部は未曽有の水害にさらされる。早急に手を打つべく、皓子は組閣を急ぎ、各大臣に窮状を訴えるが、皆、高をくくって動こうとしない。おまけに、大量の国債の買い入れを行ってきた日銀の信用がついに失墜し、世界市場で急激な円安を引き起こしていた。洪水と株の大暴落という二重の危機を前に、皓子は緊急事態宣言を発令し、この難局に立ち向かっていく――。

 いわゆるシミュレーション小説だが、小説通りのことが今起こっても不思議ではないようなリアルな描写に、こうした危機に現政権がどう対応できるのか考えさせられる。(中央公論新社 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    JリーグMVP武藤嘉紀が浦和へ電撃移籍か…神戸退団を後押しする“2つの不満”と大きな野望

  2. 2

    広島ドラ2九里亜蓮 金髪「特攻隊長」を更生させた祖母の愛

  3. 3

    悠仁さまのお立場を危うくしかねない“筑波のプーチン”の存在…14年間も国立大トップに君臨

  4. 4

    田中将大ほぼ“セルフ戦力外”で独立リーグが虎視眈々!素行不良選手を受け入れる懐、NPB復帰の環境も万全

  5. 5

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  1. 6

    FW大迫勇也を代表招集しないのか? 神戸J連覇に貢献も森保監督との間に漂う“微妙な空気”

  2. 7

    結局「光る君へ」の“勝利”で終わった? 新たな大河ファンを獲得した吉高由里子の評価はうなぎ上り

  3. 8

    飯島愛さん謎の孤独死から15年…関係者が明かした体調不良と、“暗躍した男性”の存在

  4. 9

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  5. 10

    中日FA福谷浩司に“滑り止め特需”!ヤクルトはソフトB石川にフラれ即乗り換え、巨人とロッテも続くか