「仕事なんか生きがいにするな」泉谷閑示氏

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〈医者になったんですが、幸せにならないのはなぜでしょうか〉

 精神療法専門のクリニックを開業する著者の元に、近年、働く意味や生きる意味を問う患者が後を絶たないという。

「ほかにも大地主で年間、何億円もの不労所得が入ったり、金も名誉もある企業の社長など、人がうらやむような生活をしている人たちが、『幸せじゃない』と言うんです。稼いで、出世して家族を持って生活に不自由がなくても、彼らは『自分は何をやっているんだ』とむなしさを感じているんですね」

 最近増えている「生きる意味が感じられない」という悩み。本書は、多くの患者に接してきた著者が、仕事中心の人生で心身をむしばまれた現代人が生きがいを見つけるヒントを示した一冊だ。

 このような生きることの根本を問う悩みは、2001年前後のITバブル時代から顕著になったという。

「戦後は衣食住を満たすことで精いっぱい。高度経済成長期からバブル経済の右肩上がりの時代は、稼ぐため、生活を便利にするために夢中になった。その結果、現代社会では情報化が進み、24時間、ワンクリックで欲しいものが手に入るようになりました。ただ、生活が便利になることと引き換えに私たちは主体性を失ったのです」

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