「仕事なんか生きがいにするな」泉谷閑示氏

公開日: 更新日:

〈医者になったんですが、幸せにならないのはなぜでしょうか〉

 精神療法専門のクリニックを開業する著者の元に、近年、働く意味や生きる意味を問う患者が後を絶たないという。

「ほかにも大地主で年間、何億円もの不労所得が入ったり、金も名誉もある企業の社長など、人がうらやむような生活をしている人たちが、『幸せじゃない』と言うんです。稼いで、出世して家族を持って生活に不自由がなくても、彼らは『自分は何をやっているんだ』とむなしさを感じているんですね」

 最近増えている「生きる意味が感じられない」という悩み。本書は、多くの患者に接してきた著者が、仕事中心の人生で心身をむしばまれた現代人が生きがいを見つけるヒントを示した一冊だ。

 このような生きることの根本を問う悩みは、2001年前後のITバブル時代から顕著になったという。

「戦後は衣食住を満たすことで精いっぱい。高度経済成長期からバブル経済の右肩上がりの時代は、稼ぐため、生活を便利にするために夢中になった。その結果、現代社会では情報化が進み、24時間、ワンクリックで欲しいものが手に入るようになりました。ただ、生活が便利になることと引き換えに私たちは主体性を失ったのです」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  1. 6

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政

  4. 9

    (72)寅さんをやり込めた、とっておきの「博さん語録」

  5. 10

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動