「暗い時代の人々」森まゆみ氏

公開日: 更新日:

 5月23日、衆院本会議で「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案が可決された。治安維持法の悪夢再び、暗黒の時代に突入か、という今、読んでおきたい本がある。

 戦前の最も抑圧された時代に、精神の自由を守るために闘った人々の心意気と生きざまをつづった本だ。

「戦前の弾圧や虐殺、そして戦争。なんでこんなバカなことが日本で起こったのかと思っていました。今の日本もすでに暗い時代に入ってますよね。共謀罪なんて犯罪の概念が変わって、大逆事件のように無関係の人が死刑になることも起こりうる。こんな狂った国じゃなかったはず。自民党一党支配でも大平さんや三木さんまでの時代は、国民に政治家としての信を問う姿勢がありましたよ。でも今は信を問うどころか閣議決定でどんどん進む。着々と戦争への下準備が進められていますよね」

 本書で描いたのは9人。立憲主義を貫き、粛軍演説を行った斎藤隆夫、戦争協力した平塚らいてうや市川房枝とは異なり、常に貧しい女性を救う社会主義を主張した山川菊栄、貧困層を救う産児制限と性教育を説き、治安維持法改悪に反対して、時の権力者に暗殺された山本宣治など、気骨の人々だ。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    U18高校代表19人の全進路が判明!プロ志望は7人、投手3人は中大に内定、横浜高の4人は?

  2. 2

    「時代に挑んだ男」加納典明(43)500人斬り伝説「いざ…という時に相手マネジャー乱入、窓から飛び降り逃走した」

  3. 3

    巨人・田中将大が好投しても勝てないワケ…“天敵”がズバリ指摘「全然悪くない。ただ…」

  4. 4

    永野芽郁が“濡れ場あり”韓流ドラマで「セクシー派女優転身、世界デビュー」の仰天情報

  5. 5

    《浜辺美波がどけよ》日テレ「24時間テレビ」永瀬廉が国技館に現れたのは番組終盤でモヤモヤの声

  1. 6

    沖縄尚学・末吉良丞の「直メジャー」実現へ米スカウトが虎視眈々…U18W杯きょう開幕

  2. 7

    世界陸上復活でも「やっぱりウザい」織田裕二と今田美桜スカスカコメントの絶妙バランス

  3. 8

    「24時間テレビ」大成功で日テレが背負った十字架…来年のチャリティーランナー人選が難航

  4. 9

    15年前に“茶髪&へそピアス”で話題だった美人陸上選手は39歳、2児のママ…「誹謗中傷もあって病んだことも」

  5. 10

    日本ハム新庄監督は来季続投する?球団周辺から聞こえた「意味深」な声