「暗い時代の人々」森まゆみ氏

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 5月23日、衆院本会議で「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案が可決された。治安維持法の悪夢再び、暗黒の時代に突入か、という今、読んでおきたい本がある。

 戦前の最も抑圧された時代に、精神の自由を守るために闘った人々の心意気と生きざまをつづった本だ。

「戦前の弾圧や虐殺、そして戦争。なんでこんなバカなことが日本で起こったのかと思っていました。今の日本もすでに暗い時代に入ってますよね。共謀罪なんて犯罪の概念が変わって、大逆事件のように無関係の人が死刑になることも起こりうる。こんな狂った国じゃなかったはず。自民党一党支配でも大平さんや三木さんまでの時代は、国民に政治家としての信を問う姿勢がありましたよ。でも今は信を問うどころか閣議決定でどんどん進む。着々と戦争への下準備が進められていますよね」

 本書で描いたのは9人。立憲主義を貫き、粛軍演説を行った斎藤隆夫、戦争協力した平塚らいてうや市川房枝とは異なり、常に貧しい女性を救う社会主義を主張した山川菊栄、貧困層を救う産児制限と性教育を説き、治安維持法改悪に反対して、時の権力者に暗殺された山本宣治など、気骨の人々だ。

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