「追われもの一破獄」金子成人著

公開日: 更新日:

 八丈島に流刑された元博徒の丹次は、少年時代に身につけた読み書きの能力に助けられ、役人たちの手伝いなどをしながら平穏に暮らしていた。

 しかし、新たに島に送られてきた博徒仲間の重次郎から、実家の乾物問屋が店をたたんだと聞き、胸が締め付けられる。聞くと、兄嫁が店をひっかき回して商いが傾き、心労から両親は首を吊り、兄夫婦の行方も分からないという。兄の佐市郎に何が起きたのか、居ても立ってもいられない丹次は、島抜けを決意。半年かかって用意した筏(いかだ)で夜の海にこぎ出す。島伝いに伊豆を目指すが、漁師から聞いていた「黒瀬川」と呼ばれる潮流に翻弄され、意識を失ってしまう。

 追っ手の恐怖に耐えながらひたすら江戸を目指す丹次を描く長編時代小説。

(幻冬舎 540円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    JリーグMVP武藤嘉紀が浦和へ電撃移籍か…神戸退団を後押しする“2つの不満”と大きな野望

  2. 2

    広島ドラ2九里亜蓮 金髪「特攻隊長」を更生させた祖母の愛

  3. 3

    悠仁さまのお立場を危うくしかねない“筑波のプーチン”の存在…14年間も国立大トップに君臨

  4. 4

    田中将大ほぼ“セルフ戦力外”で独立リーグが虎視眈々!素行不良選手を受け入れる懐、NPB復帰の環境も万全

  5. 5

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  1. 6

    FW大迫勇也を代表招集しないのか? 神戸J連覇に貢献も森保監督との間に漂う“微妙な空気”

  2. 7

    結局「光る君へ」の“勝利”で終わった? 新たな大河ファンを獲得した吉高由里子の評価はうなぎ上り

  3. 8

    飯島愛さん謎の孤独死から15年…関係者が明かした体調不良と、“暗躍した男性”の存在

  4. 9

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  5. 10

    中日FA福谷浩司に“滑り止め特需”!ヤクルトはソフトB石川にフラれ即乗り換え、巨人とロッテも続くか