「追われもの一破獄」金子成人著

公開日: 更新日:

 八丈島に流刑された元博徒の丹次は、少年時代に身につけた読み書きの能力に助けられ、役人たちの手伝いなどをしながら平穏に暮らしていた。

 しかし、新たに島に送られてきた博徒仲間の重次郎から、実家の乾物問屋が店をたたんだと聞き、胸が締め付けられる。聞くと、兄嫁が店をひっかき回して商いが傾き、心労から両親は首を吊り、兄夫婦の行方も分からないという。兄の佐市郎に何が起きたのか、居ても立ってもいられない丹次は、島抜けを決意。半年かかって用意した筏(いかだ)で夜の海にこぎ出す。島伝いに伊豆を目指すが、漁師から聞いていた「黒瀬川」と呼ばれる潮流に翻弄され、意識を失ってしまう。

 追っ手の恐怖に耐えながらひたすら江戸を目指す丹次を描く長編時代小説。

(幻冬舎 540円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁の「清純派枠」を狙うのは"二股不倫報道”の田中圭と同じ事務所の有望株という皮肉

  2. 2

    気持ち悪ッ!大阪・関西万博の大屋根リングに虫が大量発生…日刊ゲンダイカメラマンも「肌にまとわりつく」と目撃証言

  3. 3

    橋本環奈『天久鷹央の推理カルテ』コア視聴率も低迷…パワハラ報道前からあった"上げ底人気"疑惑

  4. 4

    趣里と三山凌輝に結婚報道…“希代のワル”羽賀研二を彷彿とさせる男の登場に水谷豊どうする?

  5. 5

    慶応幼稚舎の願書備考欄に「親族が出身者」と書くメリットは? 縁故入学が横行していた過去の例

  1. 6

    ベッキー不倫騒動が教訓 LINEはこうして筒抜けになる

  2. 7

    自民“裏金議員”西田昌司氏が沖縄戦に許しがたいイチャモン…次期参院選に推薦した公明は真っ青

  3. 8

    上智大は合格者の最大40%も…2021年から急増した「補欠合格」の現状

  4. 9

    人間の脳内のマイクロプラスチック量は「使い捨てスプーン」サイズ…8年前より1.5倍に増えていた

  5. 10

    嵐「解散ビジネス」で荒稼ぎの皮算用…総売り上げは500億に? 2026年5月に活動終了