「日本殺人巡礼」八木澤高明著

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 2013年7月21日、山口県周南市で、近隣に住む高齢者5人が連続して殺害・放火された。この事件は閉鎖的な村社会で起きた連続殺人であり、横溝正史の「八つ墓村」のモデルとして知られる津山事件との類似が指摘され、「現代の八つ墓村」ともいわれている。

 著者は、現場である周南市を訪れ、次いで津山事件の犯人都井睦雄の生家にも赴く。それぞれの土地を訪れることで2つの事件を生んだ風土の特性を感得する。

 この事件を皮切りに、小平義雄婦女暴行事件、永山則夫連続射殺事件、足立区綾瀬女子高生コンクリート殺人事件、埼玉県愛犬家殺人事件、本庄保険金殺人事件……戦前から現在まで、深く人々の記憶に刻まれたこれらの事件が起こった現場ならびに殺人者の生まれ育った土地を訪ね歩き、取材を重ねていく。

 その中には、北海道で妻子を殺害したネパール人の故郷も含まれる。

 おぞましい犯罪を生んだ風土と時代とはなんだったのかを問う、ノンフィクション。

 (亜紀書房 1700円+税)

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