「富美男の乱」梅沢富美男著

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 梅沢の母の出身地・青森県藤崎町から、梅沢の劇団に「ふるさと公演」の依頼が来た。定員300人程度の公民館や体育館だから設備がない。自前で照明や音響用の電源車を持っていき、客席用のパイプ椅子も自分たちで並べるという赤字公演だ。だが、梅沢が女形姿で登場すると、うわーー! っと歓声が湧く。年寄りは開演の3時間も前にやってきて、「おやあ、おまえ、まだ生ぎでたのかい!」なんて会話をしている。それを聞いて、同じ町に住みながら、足がなくて何十年も行き来できなかった人たちが、梅沢の公演のおかげで再会できたことに気づいた。「これこそ『町おこし』じゃないか!」と。

 テレビ出演より劇団の公演を優先する梅沢の心意気が伝わってくるエッセー集。 (小学館 1300円+税)

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