「富美男の乱」梅沢富美男著

公開日: 更新日:

 梅沢の母の出身地・青森県藤崎町から、梅沢の劇団に「ふるさと公演」の依頼が来た。定員300人程度の公民館や体育館だから設備がない。自前で照明や音響用の電源車を持っていき、客席用のパイプ椅子も自分たちで並べるという赤字公演だ。だが、梅沢が女形姿で登場すると、うわーー! っと歓声が湧く。年寄りは開演の3時間も前にやってきて、「おやあ、おまえ、まだ生ぎでたのかい!」なんて会話をしている。それを聞いて、同じ町に住みながら、足がなくて何十年も行き来できなかった人たちが、梅沢の公演のおかげで再会できたことに気づいた。「これこそ『町おこし』じゃないか!」と。

 テレビ出演より劇団の公演を優先する梅沢の心意気が伝わってくるエッセー集。 (小学館 1300円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    世良公則氏やラサール石井氏らが“古希目前”で参院選出馬のナゼ…カネと名誉よりも大きな「ある理由」

  2. 2

    新横綱・大の里の筆頭対抗馬は“あの力士”…過去戦績は6勝2敗、幕内の土俵で唯一勝ち越し

  3. 3

    年収1億円の大人気コスプレーヤーえなこが“9年間自分を支えてくれた存在”をたった4文字で表現

  4. 4

    浜田省吾の父親が「生き地獄」の広島に向ったA.A.B.から80年

  5. 5

    山尾志桜里氏は出馬会見翌日に公認取り消し…今井絵理子、生稲晃子…“芸能界出身”女性政治家の醜聞と凄まじい嫌われぶり

  1. 6

    「徹子の部屋」「オールナイトニッポン」に出演…三笠宮家の彬子女王が皇室史を変えたワケ

  2. 7

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希 球団内で「不純物認定」は時間の問題?

  4. 9

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償

  5. 10

    フジ親会社・金光修前社長の呆れた二枚舌…会長職辞退も「有酬アドバイザー」就任の不可解