著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

政治と無縁ではあり得ない トランプの「戦後体制変更」が揺さぶるプロスポーツと国際大会

公開日: 更新日:

 株をやる友人に極意を尋ねたことがある。

「底値で買って高値で売る」

 ……当たり前じゃないかと鼻白んで株はやめたが、後で「なるほど」と思った。この当たり前が難しい──いまが底値のテニスの話をしよう。

 モニカ・セレシュを覚えているだろうか。無敵だったシュテフィ・グラフを追い詰めたスーパースターは、15歳だった1989年の全仏ベスト4で4大大会デビューを飾った。ツアー最終戦も制し、翌年の全仏決勝でグラフを破り史上最年少優勝で勢いに乗った。91年は出場16大会すべて決勝に進んで10勝。その年の全豪からメジャー9大会で7勝したが、ウィンブルドンだけ勝てなかった。92年は準優勝、問題は91年だ。

 春にグラフを女王の座から引きずり降ろし、全仏を制して年間グランドスラムへと期待が膨らんでいた矢先、開幕3日前に欠場を発表。脚の故障にしては唐突で、妊娠説まで飛び出す騒ぎの中、17歳が逃げ込んだのが45歳の不動産王のフロリダの別荘──ドナルド・トランプという名前を初めて耳にした。

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