日本で最初に攻撃を受けるのは横須賀だ!

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 核兵器と大陸間弾道ミサイルの開発に突き進む北朝鮮。しかし、経済崩壊に直面し、国民の怒りを外に向けるためだけに対外強硬策をとりかねない中国の方が危険であると警告するのが、兵頭二十八著「東京と神戸に核ミサイルが落ちたとき所沢と大阪はどうなる」(講談社 840円+税)だ。本書では、対日核攻撃のケースについて、元自衛官の著者がシミュレートしていく。

 対米戦争に巻き込まれた場合、日本で最初に核攻撃を受けるのは横須賀であると本書は断言する。横田基地や嘉手納基地など、国内の米軍基地にはいずれもその機能を分散できる代替基地がある。ところが、米原子力空母の母港となり得、修船設備および港湾労働者の質が高く、大規模補給施設を有するなどの好条件を満たしているのは、横須賀基地が唯一。米海軍にとって極東海域における“代替が利かない利便性”を持つのが横須賀であり、この地を攻撃されればその活動に大ダメージを受ける。

 東京都を壊滅させた方が話が早そうだが、都市を攻撃してしまうとアメリカに「報復の大義名分」を与えることになる。北京や上海クラスの大都市が攻撃されれば、中国人民の動揺と離反が加速し、土台から一気に崩壊しかねない。ところが、「あくまで軍事基地を狙った」「しかもアメリカではなく日本領土」となれば、アメリカもそれと“同等”の報復しかできない。ちなみに、横須賀に核が落とされれば、その衝撃波は横浜郊外にまで及び、2次放射能が降灰の形で千葉と東京にも降り注ぐ。日本の中枢に打撃を与えるには十分な攻撃だ。

 中国が劣勢となり全面戦争を覚悟した場合は、他の地域にも核の雨が降る。とはいえ、中国の核弾頭ストックは400発程度であり、ターゲットは絞られる。

 その場所は、核施設のある茨城県東海村や青森県六ケ所村など数カ所だ。もちろん、東京も免れない。関東平野の風向きは冬が北西風、夏は南風が一般的。そのため、東京に核が落ちても埼玉県所沢市とそれ以西の地域は2次放射能の被害を受けにくい。とはいえ、避難者やけが人が大挙して押し寄せるため、あらゆる物資が枯渇することが予測できる。

 核の被害を局限するには、知識と情報が不可欠だ。

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