「何もしない」という究極の治療方法

公開日: 更新日:

「不安神経症・パニック障害が昨日より少し良くなる本」ポール・デイヴィッド著、三木直子訳

 10年間にわたり不安神経症に苦しんだ著者が、自身の経験をもとに克服方法をアドバイスする本書。

 不安神経症とは、はっきりした理由がないのに不安が起こる、あるいは理由があってもそれ以上に強く不安を感じ、病的な不安がさまざまな身体症状を伴って表れる疾患だ。精神的ショックやストレスなどの他、過労や睡眠不足など身体的悪条件によって引き起こされる場合もある。

 症状としては、気分の落ち込みや手の震え、動悸、疲労感、孤独感などがあるが、不安神経症の場合は症状そのものも不安の対象となり、悪循環をもたらすという難しさがある。必死に治療を続けてきた著者を苦しめたのも、この悪循環だという。

 しかし、さまざまなクリニックを転々とする中で、あるカウンセラーの言葉からひと筋の光を見いだすことになる。それは、「良くなろうとする限り良くならない」という言葉だった。以降、“即効性”を求めるのをやめ、自分の状態とその原因を知るところから始めた著者。そして、「脳や体が疲れている状態にある」と理解した上で、薬やカウンセリング漬けだった毎日からシフトし、「何もしない」という選択をした。

 すると、強迫観念や自己嫌悪がなくなり、少しずつ回復へと向かうことができたのだという。シンプルな提案だが、患者視点からの言葉には説得力がある。不安神経症に限らず、長引く疾患に悩む多くの患者に役立つカウンセリングブックだ。

 (晶文社 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐野勇斗は書道六段で英語も堪能 愛知県立岡崎西高校から明治学院大英文学科へ

  2. 2

    「Aぇ!group」草間リチャード敬太は事件から“ほぼ復活” 大阪学院大で学んだ苦労人の前途

  3. 3

    「おい、オマエ、挨拶に来てねえよな!」納会の二次会でラーメンをすする牧田明久にお灸を据えた

  4. 4

    これが日本の「中流」サラリーマン転落の軌跡 年金の「繰り上げ受給」を選ぶのは、お金と仕事がない人

  5. 5

    あのちゃん騒動の“最大の誤算”とは…番組終了より深刻な“サイレントサポーター”の離反

  1. 6

    ミスチル、銀杏BOYZ、T-BOLANの直前ライブ中止〈はやく判断できないのか〉アーティストの決断が遅れる背景とジレンマ

  2. 7

    嵐の大野智と相葉雅紀、二宮和也が通信制高校で学んだそれぞれの事情

  3. 8

    「佐々木朗希を殺す気なのか」 ロッテが頭を抱えた泥沼交渉劇の舞台裏

  4. 9

    案の定ナフサは不足…それでも楽観論ふりまく赤沢経産相がついに「報道介入」の異常事態

  5. 10

    嵐が去った後に340万人のファンが向かう先…Snow Man、M!LKに次いで有力“不祥事グループ”「ACEes」に募る不安