「熱狂のソムリエを追え!」ビアンカ・ボスカー著 小西敦子訳

公開日: 更新日:

 著者はテクノロジー関連の記者だったが、偶然耳にしたソムリエコンクールに興味を持ち、調べていくうちにソムリエという仕事の奥深さを知り、安定した職業を投げ捨てて、ソムリエの世界に飛び込む。本書はその1年半に及ぶ体験記。

 ソムリエにとって最も必要なのは優れた嗅覚。香水を手放し、香り付きの洗剤、シートタイプの柔軟剤、生のタマネギ、ピリ辛ソース、塩分、リステリン、さらにはコーヒーまでご法度。時間さえあればワインの試飲をしているので、しらふでいるのは1日6時間ほど。試飲していないときでも、シャワー中にシャンプーの匂いを嗅ぎ、ワインの産地を暗唱する。周囲も、味蕾を磨くために岩をなめたり、雨が嗅覚を鈍らすからと気象学を学ぶといったつわもの揃い。接客、ワインの知識も詰め込んで、彼女はついにソムリエ試験に臨む……。

 ふだん何げなく飲んでいるワインだが、その奥にはこんな深遠な世界が広がっているかと思うと、味わいも違ってくる。ワインに関する知識も満載。

(光文社 2300円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手

  2. 2

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  3. 3

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  4. 4

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  5. 5

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  1. 6

    大炎上中の維新「国保逃れ」を猪瀬直樹議員まさかの“絶賛” 政界関係者が激怒!

  2. 7

    池松壮亮&河合優実「業界一多忙カップル」ついにゴールインへ…交際発覚から2年半で“唯一の不安”も払拭か

  3. 8

    維新の「終わりの始まり」…自民批判できず党勢拡大も困難で薄れる存在意義 吉村&藤田の二頭政治いつまで?

  4. 9

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?

  5. 10

    SKY-HI「未成年アイドルを深夜に呼び出し」報道の波紋 “芸能界を健全に”の崇高理念が完全ブーメラン