「あなたのためなら」田牧大和著

公開日: 更新日:

 上菓子司「藍千堂」の主、晴太郎は、晴れの日に少しの贅沢(ぜいたく)として食べられるような菓子を売りたいと思っていた。

 晴太郎は武士の妻だった佐菜をめとり、連れ子のさち、弟の幸次郎と、菓子職人の茂市と5人で暮らすようになる。

 菓子をつくるたびにさちに食べさせようとするのだが、佐菜は小さな子供には贅沢だと反対する。幸次郎が、さちは藍千堂の総領娘だから、上等な菓子の味を知らなくては困ると言うと、ようやく、たまにならいいということに。

 晴太郎はさちが「お父っつあん」と呼んでくれないことを気にしているが、それにはさちなりの事情があるらしい。(「遣らずの雨)」

 江戸の菓子司を舞台に繰り広げられる人情噺(ばなし)5編。

(文藝春秋 1680円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    カーリング女子フォルティウス快進撃の裏にロコ・ソラーレからの恩恵 ミラノ五輪世界最終予選5連勝

  2. 2

    南原清隆「ヒルナンデス」終了報道で心配される“失業危機”…内村光良との不仲説の真相は?

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    「対外試合禁止期間」に見直しの声があっても、私は気に入っているんです

  5. 5

    高市政権「調整役」不在でお手上げ状態…国会会期末迫るも法案審議グダグダの異例展開

  1. 6

    円満か?反旗か? 巨人オコエ電撃退団の舞台裏

  2. 7

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  3. 8

    箱根駅伝3連覇へ私が「手応え十分」と言える理由…青学大駅伝部の走りに期待して下さい!

  4. 9

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  5. 10

    近藤真彦「合宿所」の思い出&武勇伝披露がブーメラン! 性加害の巣窟だったのに…「いつか話す」もスルー